RACE REPORT

西日本ロードクラシック広島大会Day-2

日付:
2024年11月24日
開催地:
広島県中央森林公園サイクリングコース(12.3km周回コース)広島県三原市本郷町上北方1315
距離:
147.6km(12.3km×12回) スプリントポイント10%×3回(2、4、8周回完了時)
天候:
曇り 気温30℃
出走:
ホセ ビセンテ トリビオ, 吉田 隼人, 安原 大貴, 小森 亮平, 狩野 智也, 小林 海

Jプロツアー第9戦
レースレイティング:ゴールド

“小森亮平が優勝!!長丁場レースを終始逃げ続けゴールスプリントを豪脚で制す!!ホセのリーダー、チーム総合トップともにキープ”

東日本に続くシーズンを二分する西日本での高ポイントレース。東日本を逃しているチームとしては何としても獲りたい一戦。しかしイベントやレースが重なってしまい今回は6名出走と人数減。人数を揃える強豪に対してやはりリスクを伴うため、これまで以上にチーム連携を固めて臨む。

まだまだ日本国内では警戒解けないコロナウイルスの影響でJプロツアー第8戦は中止、そしてこの地で2週間前に開催されるはずであった全日本選手権もキャンセルとなったが、今回は無事開催いただくことになり再び競技ができることには感謝しかない。また各地で今度は天候災害が相次ぐ中、奇跡的にこの地では雨の影響も少なく落ち着いた天候。梅雨の曇天の下、感謝と敬意を深く捧げ西の聖地でのスタートを切った。

4時間ほどの長丁場レースだがスタートからアタックがかかり4名の先行が出る。人数少ないマトリックスであるが、始めのこの逃げに「行った方がいい」と判断した小森が追走に入り2周目には追いつく、9名の先頭グループが形成され、各チーム入っていることからメインは容認、タイム差は1分を超えていく。

小森亮平(マトリックスパワータグ)
住吉宏太、當原隼人(愛三工業レーシングチーム)
香山飛龍、井上文成(弱虫ペダルサイクリングチーム)
尾形尚彦、風間翔眞(シマノレーシング)
白川幸希、冨尾大地(CIEL BLEU KANOYA)

今回はTEAM BRIDGESTONE Cyclingが参戦しておらず、実質チームで動くのはこの先行グループに入れているチームとなる。その結果、メインの容認姿勢を崩すチームも現れずタイム差は開いていくばかり。また、小森らの逃げ9名もまとまっており快調に回している。ボーナスポイントの大きい中間スプリント1回目は風間が獲り3周目へ、メインとのタイム差は2分を超えた。

タイム差2分40秒ほどを保ち先頭もメインも落ち着いて周回を重ねる。先頭ではマトリックスは小森1名、複数入れている愛三工業レーシング、シマノレーシングが中心となってコントロールをすることで小森は消耗も抑えることができる状況、2回目のポイントは尾形が獲りシマノレーシングがポイントを重ねながら5周目へ。


曇天ではあるが湿度は90%を超えかなり蒸し暑い、補給を受けながらも脚攣りなどで脱落する選手も出始め、メインは少しずつ人数が減っていく。タイム差は変わらず2分30秒ほど、しかしレースはもう中盤、1名しか入れていないマトリックスはこの状況を動かすべく大貴が積極的にジャンプへの動きを見せる。

この動きに数名が反応し8名が抜けた。しかし2分以上の差を詰めるのは容易ではない、ペースアップに人数が減っていき6周目には7名、メインへはまだ1分強、なおもペースアップを続け7周目、残る追走メンバーは大貴を含む4名、そしてついに先頭に合流した。
追走メンバー
安原大貴(マトリックスパワータグ)
入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)
鈴木 譲(愛三工業レーシングチーム)
湊 諒(シマノレーシング)

全日本チャンピオンの入部などさすがベテラン勢といった面々、この合流でレース形成は大きく変わり、先頭主体へとなっていく。また追走の動きでメインは更にタイム差が開き4分を超えた。リーダーのホセをはじめ各チームの主格を多く残すメインだが、この動きと暑さとで人数激減、前を追える勢いがない。業を煮やしたホセとマリノは自ら前に出てペースアップを開始したが人数は更に減っていく。

再編した先頭13名
小森亮平、安原大貴(マトリックスパワータグ)
住吉宏太、當原隼人、鈴木 譲(愛三工業レーシングチーム)
香山飛龍、井上文成、入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)
尾形尚彦、風間翔眞、湊 諒(シマノレーシング)
白川幸希、冨尾大地(CIEL BLEU KANOYA)

大貴が入ったおかげでマトリックスも勝負できる体制、しかし強豪は更に人数増強となりまだまだ劣勢。そして今度は先頭がペースを上げながら9周目、最後のスプリントは大貴が獲り残り4周、いよいよ終盤へ。

そしてメインは完全に崩壊しホセやマリノが先頭だが10名ほどしかいない。タイム差は上がらず苛立つ様子が窺える。

先頭では終盤へ向けての戦いが始まる。白川のアタックに入部が反応し2名で15秒ほど逃げながら10周目へ。しかし後続も黙ってはおらず前を追うがこの動きで数名がドロップし人数7名。先頭2名は入部のペースに白川が遅れ後続がキャッチ。入部は単独で更に秒差を広げるが、小森、冨尾、井上の3名が入部をキャッチし11周目には残る7名パック。

小森亮平、安原大貴(マトリックスパワータグ)
入部正太朗、井上文成(弱虫ペダルサイクリングチーム)
鈴木 譲(愛三工業レーシングチーム)
湊 諒(シマノレーシング)
冨尾大地(CIEL BLEU KANOYA)

複数残すのはマトリックス、弱虫ペダルサイクリングチーム、これまで劣勢だったマトリックスも優勢に立つがベテランや最近の活躍目覚ましいヤングライダーなど手強い面々。そして入部を主体とする弱虫ペダルサイクリングチームの激しい波状攻撃が容赦ない。

今度は井上がアタックをかけ単独先行、いち早く反応した小森が追う。そして後から追いついてきたのは入部、小森はこの2名に徹底攻撃を食らいながらも粘る。やがて前回の群馬でも最後まで手強かった冨尾が追いつき4名でラストラップへ。

アタックしつつもアタックかけられ…の激しいアタック戦、その中でも入部が激しくアタックを駆け散らすが小森も果敢にやり返す。

4名それぞれがアタック仕掛け合い一時の目も離せない状態、対等互角の4名はそのままバトルしながらホームストレートに姿を現す。このメンバーではスプリントにも定評がある入部が脅威、互いに睨み合いながらのストレート残り300mを、牽制する間もなく一斉に長いスプリント開始。

周囲が固唾を吞んで見守る中、ひと際力強く伸びゴールをきったのは小森!小森が大きく手を上げ勝利!!

「4名とも本当に強かったと思う。けれど、冨尾、井上に対しやはりベテランの入部と自分はレーススキルの上でも上回っていたと思えるし感じながら戦っていた。スプリントでは入部が脅威だったが積極的に動いていた彼の状態を冷静に判断して勝負できた。」と話す小森。広島出身の小森が勝利するのは実に13年ぶり、そしてその勝利とはこの同じ広島の地でこの時季に開催された全日本選手権U23での勝利だった。偶然とは思えぬ地元開催での勝利は彼自身の強さが引き寄せた最高の偶然。この勝利は大会に携わる地元の方々からも感激の声があがり多くの祝福を受けていた。

そして、最後まで小森を支えた大貴は5位。メインに残されたホセはマリノと共に冷静な判断のもと2名でポジションアップし、9位、10位ゴールでしっかりとリーダーキープ。終わってみれば完走はたったの26名、その中でマトリックスはチーム総合もしっかりとキープしている。

「大貴の加勢が本当に心強かった。チームでよく動けていたから人数が少ないことのリスクは感じず信頼できるチームで獲った勝利。これもそれも監督のおかげ。そして、弱虫ペダルサイクリングチームとCIEL BLEU KANOYAはチーム連携がとても良く、これからも手強いチームだと思う。」と小森は言う。

手強い相手ほど勝利した時の喜びはひとしお、そして次戦へ向けての気も引き締まる。

次戦は猛暑恒例の福島県石川ロード、今季はクリテリウムが加わり2連戦となる。チームにとって今季一番の遠距離大遠征となるが、チーム一丸で臨みます。

Photo by Satoru Kato, Itaru Mitsui

【結果】
1位 小森亮平(マトリックスパワータグ)  3時間48分37秒
2位 井上文成(弱虫ペダルサイクリングチーム)   +:00’
3位 冨尾大地(CIEL BLEU KANOYA)
4位 入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)
5位 安原大貴(マトリックスパワータグ)        +:58’
6位 鈴木 譲(愛三工業レーシングチーム)     +1:07’
7位 湊 諒(シマノレーシング)             +2:32’
8位 白川幸希(CIEL BLEU KANOYA)       +3:24’
9位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)+4:18’
10位 小林 海(マトリックスパワータグ)
DNF 吉田隼人(マトリックスパワータグ)
DNF 狩野智也(マトリックスパワータグ)

【個人総合】
1位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ) 1855p
2位 岡本 隼(愛三工業レーシングチーム)       1225p
3位 フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ) 1196p

【チーム総合】
1位 マトリックスパワータグ    5330p
2位 TEAM BRIDGESTONE Cycling 3236p
3位 シマノレーシング        2871p