RACE REPORT

経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ

日付:
2024年04月17日
開催地:
広島県中央森林公園サイクリングコース(12.3km周回コース) 広島県三原市本郷町上北方1315
距離:
159.9km(12.3km×13周回 ※台風のため1周減) スプリントポイント×3回(3、6、9周回完了時の1位に優勝ポイントの10%)
天候:
曇り時々小雨 気温26℃
出走:
アイラン フェルナンデス, ホセ ビセンテ トリビオ, フランシスコ マンセボ, オールイス アルベルト アウラール, 佐野 淳哉, 小森 亮平, 安原 大貴


Jプロツアー第18戦 
レースレイティング:プラチナ

“オールイス・アウラール、フランシスコ・マンセボ、ホセ・トリピオの1-2-3!!団体戦も優勝し輪翔旗を手にする完全勝利!!
オールイス遂にツアーリーダー奪還“

前戦の南魚沼でもパコの完勝を収めたチームは残るツアー戦を更に勢い上げて追い込みをかける。チームにとって昨年も勝利した勝率の良い経産旗チャンピオンシップ、Jプロツアーで唯一の団体戦でもあるこのレースは今年で第53回、全日本実業団自転車競技連盟の歴史を象徴する格式高いレースである。自らもその歴史の中で汗した安原監督が最も力を入れるのは団体戦、これこそがロードレースの神髄!と、勝利の証となる輪翔旗を今年も獲りに行く。

台風到来で直前まで開催危ぶまれた経産旗ロードは距離を短縮しての開催となる。JBCFのロードチャンピオンシップであり、ツアー唯一の団体戦。昨年手にした輪翔旗を返還するも再び手にすることを強く誓い合うチームは、併せて狙っているリーダー奪還も含めて今戦も積極的に動く。

心配されていた台風からの直影響は運よく逃れ小雨、風もなくスタート時には雨も止み穏やかに輪翔旗返還のセレモニー終え、ツアー最高峰のチャンピオンシップがスタートした。

スタートからの散発的なアタック戦にアイランが入り積極的にアタックを打つ。集団のまま1周回を終え2周目への下りへ向けてアタックした石橋学(TEAM BRIDGESTONE Cycling)に反応するアイラン、この動きをきっかけに数名が抜け、9名の逃げを形成。メインは容認し1分40秒の差をつけて先行する。マトリックスはホセが追いつき2名含む。

ホセ・トリビオ、アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)
石橋学、孫崎大樹(TEAM BRIDGESTONE Cycling)
増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
入部正太朗(シマノレーシング)
中島康晴(KINAN Cycling Team)
柴田雅之(那須ブラーゼン)
藤岡克磨(VICTOIRE広島)

このメンバーはほぼエース級メンバーで強力、各チームの思惑も揃いメインは行かせる。途中、地元チームの藤岡が痛恨のパンクで離脱、まだまだウェット気味の路面は滑りやすくメインでもパンクやスリップの情報が入る状況。残る先頭8名は協調しながら3周目に入る。メインとは更に差が開き4分近く、前面はマトリックスが固めコントロールする。

1回目の中間スプリント(10%ポイント)は孫崎が獲り、先頭もメインも大きな動きはなく進行する。その間も雨は降ったり止んだりを繰り返し路面状況は回復せずスリップ落車の情報が度々入る状況。2回目の中間スプリントも孫崎が獲り7周目へ。レースは折り返しとなりメインをコントロールし続けるマトリックスを中心に徐々にペースを上げて差を詰め始める。それま19〜20分台でのラップタイムが18分台へ、佐野、小森、大貴を中心にマトリックスの牽きが始まり、先頭ではホセ、アイランは牽きを抑えマトリックス前後でレースメイクの主導を握り順調な運び。

ところが9周目でアイランがスリップ落車に巻き込まれ離脱してしまう、続いて中島…ウェットなままの路面がアクシデントを各所で発生させている。この離脱で先頭は6名となり優位であったマトリックスはホセ一人に、2名残すはTEAM BRIDGESTONE Cyclingでペースを上げ始め、最後の中間スプリントも孫崎が獲りながら10周目へ。

一方メインは離脱したアイランが戻り更なるペースアップで一丸牽き、先頭との差を1分30秒まで縮めていく。このペースアップでメインはほぼ崩壊、マトリックスは尚もペースアップを続けて牽きまくり、アイラン、大貴が仕事を終えていく。残るパコ、オールイス、佐野、小森を含むメイン24名。僅差を追うオールイスはリーダーの岡篤志と互いに意識しながらしっかりと付いている。


ついにパコがオールイスを連れてアタック、先頭へのブリッジをかける。反応したのは徳田優(TEAM BRIDGESTONE Cycling)、そして同じくブリッジをかけようとした宇都宮ブリッツェン勢だが、ここで岡が痛恨のパンク。チームは岡を待ち一丸必死の追走をかけるがやはりロスタイムを埋めるのは困難か、引き上げる赤いジャージが次々と姿を消していく。それでも単身となった岡は尚も追走を続け凄まじい追い上げを見せるが届くことはなく、最高峰舞台での一騎打ちは叶わずリーダーを手離すことになる。


そしてブリッジをかけたパコ、オールイス、徳田は先頭に追いつき、代わりに石橋がドロップして先頭再編。

ホセ・トリビオ、フランシスコ・マンセボ、オールイス・アウラール(マトリックスパワータグ)
増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
入部正太朗(シマノレーシング)
徳田優(TEAM BRIDGESTONE Cycling)

6名のうちマトリックス3名と最良の流れへ、チーム上位3名で競う団体戦の勝利は確実となってくる。続く後続は単身追い上げて来ている岡で1分ほど。この6名逃げ切りは決定的となってくるが日本代表クラスの面々との勝負は手強い。残る2周、終盤へ向けてパコの強烈な牽きが始まった。ワールドクラスのパコの牽きは味方をも殺す勢い、もやはローテーションではなくひたすらパコに牽き倒されるといったその激しさは全員の表情から窺える。

ついにパコ牽きのままラストラップへ。緩むことないその牽きの中から入部が幾度もアタックをかけ、6名激しい叩き合い。決め手とならないまま残る1km、勝負は最後直線のゴールスプリントとなる。

上りきりから姿を見せたのは先頭抑えたようにマトリックス3名、パコ、オールイスの先駆けに上がってくる徳田を抑えたホセが続き、オールイスを頭に見事な1–2–3フィニッシュ!!


単身追い上げ続けた岡は7位でゴールし、最高ポイントを獲たオールイスはリーダー奪還。勝負は時の運とは言え、アクシデントでなければ間違いなく最後の勝負に絡み歴史に残る一戦となったであろう。

それでも様々な時の運も味方につけ、個人/団体の勝利だけでなくツアーリーダーの奪還まで成功し全ての勝ちを獲った完全勝利にチーム一同歓喜。残るツアーは4戦、リーダー奪還したものの2位との差は僅かで一瞬の油断もならないレースが続く。チーム一丸で手にした王座を護り通します。

【結果:個人戦】
1位 オールイス・アウラール(マトリックスパワータグ) 4時間08分14秒
2位 フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)
3位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
4位 徳田 優(TEAM BRIDGESTONE Cycling)
5位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +2秒
6位 入部正太朗(シマノレーシング) +21秒
7位 岡 篤志(宇都宮ブリッツェン) +3分57秒
8位 孫崎大樹(TEAM BRIDGESTONE Cycling) +4分32秒
9位 黒枝士揮(TEAM BRIDGESTONE Cycling) +4分33秒
10位 柴田雅之(那須ブラーゼン) +4分34秒
DNF 佐野淳哉(マトリックスパワータグ)
DNF アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)
DNF 小森涼平(マトリックスパワータグ)
DNF 安原大貴(マトリックスパワータグ)

【結果:団体戦】
1位 マトリックスパワータグ 2160p
2位 TEAM BRIDGESTONE Cyclin 1080p
3位 宇都宮ブリッツェン 1035p

【ツアー個人総合】
1位 オールイス・アウラール(マトリックスパワータグ) 4066p
2位 岡 篤志(宇都宮ブリッツェン) 3978p
3位  ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ) 2801p
4位  フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ) 2445p
5位  今村駿介(TEAM BRIDGESTONE Cycling) 2085p
6位 入部正太朗(シマノレーシング) 2025p

【ツアーチーム総合】
1位  マトリックスパワータグ  12607p
2位  TEAM BRIDGESTONE Cycling  12458p
3位  宇都宮ブリッツェン  9588p

photo by Satoru Kato