RACE REPORT
ツールド北海道
- 日付:
- 2024年11月26日
- 開催地:
- 北海道旭川市
- 距離:
- 全3ステージ 550km
- 天候:
- 出走:
- ベンジャミ プラデス, ホセ ヴィセンテ トリビオ, 吉田 隼人, アイラン フェルナンデス, 安原 大貴
今年は旭川市停留で各ステージを設定、北海道ならではのアップダウンを含み、十勝岳を登る厳しい山岳が第2ステージに設けられている。
しかし、3日間という短いステージレースは1秒が重く、3年前の同ルートでも全て最後は集団スプリントだった。
今回も、短いだけに全て激しいレースになるであろうと予想されている。
TOJで大暴れのイランチームがドタキャンし、NIPPO-ヴィーニファンティーニの戦力が際立って脅威。
マトリックスは表彰台を目指しチーム全力で戦う。
【第1ステージ】
旭川市~東川町の188km KOM2回、HS2回
天候:晴れ 気温23℃
本州に上陸した台風の影響で、今年は全ステージ雨予報。
ところが奇跡的にこの日は晴れ、北海道らしい爽やかな秋晴れを見ることができた。
華やかにパレードを終えリアルスタートがきられると、スタートから激しくアタックがかかる。
ところが直ぐに大きな落車、地元の阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)は負傷し早々のリタイアとなってしまう。
マトリックスも大貴が巻き込まれストップ、追い上げに脚を使うことになる。
アタックを繰り返しながら5km過ぎた辺りで3名が抜け先行する。メインは容認、落ち着いてくる。
ジャコモ・ベルラート(NIPPOヴィーニファンティーニ)
佐野淳哉(那須ブラーゼン)
マシュー・ゼノヴィッチ(CCT p/b チャンピオンシステム)
先頭とは大きく差が開いていき、30kmもしないうちに10分以上の大差となっていく。
これ以上の差は非常に危険、BSアンカーが先立ち追い上げをかける。マトリックスも大貴を中心に協調して追うが、チームによっては思惑揺れ脚使いに偏りがある。
10分を縮めるのは容易ではなく、激しく消耗していく。またこのハイペースに脱落する者も多く、集団は徐々に絞られていく。
尚も逃げ続ける3名、KOMもHSも全てこの3名が先頭通過し、集団がやっと捕らえたのは残り10km地点。
既に残った人数は30名ほどとなっていた。集団スプリントを想定し始める中、隼人は補給で下がったところでアタックがかかり、乗り遅れてしまう。
残ったのはホセ、ベンジャ、アイラン。激しいアタック戦から仕掛けたのはNIPPO勢。ユーリ・フィロージが、ダニエーレ・コッリが、山本元喜が、次々とアタック。
尚も波状攻撃を仕掛けるNIPPO勢、最後はスタキオティ・リカルドが一抜け優勝。残る33名が集団ゴール。
マトリックスは、ホセ、ベンジャ、アイランが同タイムゴールし、フィニッシュポイントを獲った。
結果、チーム総合は2位と上位につけ、幸先良い第1ステージとなった。
序盤の落車、そして集団の牽引からと脚を使い倒した大貴も完走、明日も5名揃い、上位目指して戦う。
☆監督のコメント☆
スペイン人3名は好調で予定どおりタイム差は殆ど無しで入ってくれました。
中でもアイランはスペアバイクで頑張ってくれました。
隼人は残念ながら補給を取りに下がって来た時にアタックがかかり、残念ながらタイム差がついてしまいました。
王子様ダイキはアイサン、アンカーとともにほぼ一日先頭交代のベリーハードワークデイ。
おかげでスペイン人3名はタイム差なしでゴール。本人はタイムオーバーぎりぎりでゴール。今日の第2ステージは無事5名でスタートできます。
イラン勢2チームがドタキャンしたこともあり(こ、これは)と思ったが、やはり大門監督率いるヴィニファンティーニは強い!
ヴィーニはひとつ、いや、三つ四つ抜けた存在、この牙城を崩すのは厳しいが、チーム一丸となって戦います。
打倒、大門!!!
〔ステージ結果〕
1位 リカルド・スタキオティ(NIPPO-ヴィーニファンティーニ)4:26’25”
2位 スコット・サンダーランド(チームバジェット・フォークリフト)+01″
3位 セッペ・ヴェルスヒュレ(CCT p/b チャンピオンシステム))
4位 窪木一茂(チーム右京)
5位 ユーリ・フィロージ(NIPPO-ヴィーニファンティーニ)
6位 ダニエレ・コッリ(NIPPO-ヴィーニファンティーニ)
8位 ホセ・ヴィセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
9位 ベンジャミ・プラデス(マトリックスパワータグ)
11位 アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)
48位 吉田隼人(マトリックスパワータグ)+1’39”
79位 安原大貴(マトリックスパワータグ)+20’59”
〔個人総合〕
1位 リカルド・スタキオティ(NIPPO-ヴィーニファンティーニ)4:26’15”
2位 スコット・サンダーランド(チームバジェット・フォークリフト)+0’05”
3位 セッペ・ヴェルスヒュレ(CCT p/b チャンピオンシステム))+0’07”
4位 佐野淳哉(那須ブラーゼン)
9位 ホセ・ヴィセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)+0’11”
10位 ベンジャミ・プラデス(マトリックスパワータグ)
12位 アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)
48位 吉田隼人(マトリックスパワータグ)+1’49”
79位 安原大貴(マトリックスパワータグ)+21’09”
〔チーム総合〕
1位 NIPPO-ヴィーニファンティーニ 13:19’17”
2位 マトリックスパワータグ +0’01”
3位 チーム右京
【第2ステージ】
美瑛町~美瑛町の162Km KOM2回、HS1回
天候:曇りのち雨 気温22℃
美瑛町や富良野など美しい箇所を通り、中盤には厳しい十勝岳が待ち受けている山岳ステージ。
天候は不安定で時折激しい雨。。そしてピタリと止んで晴れたりと極端。
やはり今日もスタートからアタックの応酬。幾度もアタック⇔吸収を繰り返しながら40km地点辺りで3名の逃げが決まる。
逃げの3名は第1ステージで遅れているメンバーのため容認され、集団はリーダーを守るNIPPOがコントロール。
その差どんどん広がり、本日も13分にまで及ぶ。またまたもや後半にかけ追う脚を使う展開。
山本大喜(鹿屋体育大)
木村圭佑(シマノレーシング)
ロイック・デリアック(キナンサイクリングチーム)
70km過ぎ辺りで追走が出始め、大久保陣(宇都宮ブリッツェン)と普久原奨(那須ブラーゼン)が追う。
しばらくしてホセがアタック、ここに西園良太(ブリヂストンアンカー)、パブロ・ウルスタン(チーム右京)が反応。
この動きはしばらくまとまらず十勝岳KOMを前に活性。KOMをベンジャが6位で通過する。
KOMを境に追走第3集団は11名でまとまった。マトリックスはホセとベンジャが入り追走をかけ始める。
一方先頭3名はKOMを前にバラけ始めロイックが単独。11名の集団が前方を吸収していく中、メインもペースを上げ許さない動き。
やがて11名は2つ目のKOM前にメインに吸収、トマ・ルバ(ブリヂストンアンカー)らBS勢を中心にアタックがかかり、集団は激しい。
その間にも逃げ続けるロイック。独走力高いこの逃げは油断できないが、メインはメイン内の攻防に集中している。
ロイック単独のまま、最後のKOMを3分ほど差つけて通過。尚もメイン内の攻防戦は続き、ホセ、ベンジャもアタックをかけるも吸収される。
残り10kmをきり、NIPPOが冷静にメインを牽引し始め残り3km地点でロイックを吸収。集団はひとつ、ゴールスプリントへ。
マトリックスはホセ、ベンジャ、隼人がいる。1kmをきり隼人スプリント体制へ・・・ところが一部のコースミスへ誘導され痛恨のコースアウト。
スプリンターはここで半減、もう激しいスプリントが始まっている。
ここで後方からホセが伸びてきた、先の2名にゴールライン手前で並び3着ゴール!そしてベンジャ5着。
結果、ホセは総合4位、ベンジャ6位。しかしチーム総合は3位へ。隼人のアクシデントが悔しい。
しかし、まだまだ僅差でいずれも3、4秒内での争い。十分チャンスはある。最終ステージを最後まで一丸で戦う。
☆監督のコメント☆
十勝超えたとき「これはいけるかも」と色気でたけどNIPOOがプロトンの前固めてたからな~
やっぱ強いは大門軍団!!
〔ステージ結果〕
1位 ダニエレ・コッリ(NIPPO-ヴィーニファンティーニ)4:17’22
2位 サルバドール・グアルディオラ(チーム右京)+00″
3位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
4位 内間康平(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)
5位 ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)
6位 中根英人(愛三工業レーシングチーム)
29位 吉田隼人(マトリックスパワータグ)
37位 安原大貴(マトリックスパワータグ)+8’34”
59位 アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)+11’04”
〔個人総合〕
1位 リカルド・スタキオティ(NIPPO-ヴィーニファンティーニ) 8:43’35”
2位 ダニエレ・コッリ(NIPPO-ヴィーニファンティーニ)+3″
3位 サルバドール・グアルディオラ(チーム右京) +7″秒
4位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ) +9″
5位 内間康平(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +12″
6位 ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ) +13″
27位 吉田隼人(マトリックスパワータグ)+1’51”
39位 アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)+11’17”
75位 安原大貴(マトリックスパワータグ)+29’45”
〔チーム総合〕
1位 NIPPOヴィーニファンティーニ 26:11’23”
2位 チームブリヂストンアンカー +0’01”
3位 マトリックスパワータグ
【第3ステージ】
鷹栖町~札幌市モエレ沼公園の200Km KOM2回、HS1回
天候:終始雨 気温16℃
いよいよ最終ステージ、距離は最長の200km。
ホセをなんとか表彰台へ持って行きたい。最終ステージがタイム差つく展開は考えづらく集団ゴールであろう。
HSのボーナスタイムは重要、僅差の下位に獲られてはならない。前夜のミーティングも念入りに行う。
朝からしっかり雨、今日ばかりはこの雨が止むことはないだろう。気温も低く肌寒い。
長く冷たい雨に打たれるこのステージは体力消耗に注意が必要、レースはきっと激しい。
本降りの雨の中、緊張の第3ステージがスタートした。
スタートからアタックがかかる、平坦基調のこのステージはハイペース展開。
やがて15km地点、1つ目KOMを前に6名の逃げグループが形成、ここにベンジャが入る。
ベンジャはKOMを2位通過、追走が数名加わり、先頭7名で逃げる。
ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)
トマ・ルバ、西薗良太(ブリヂストンアンカー)
増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
入部正太朗(シマノレーシング)
徳田優(CCT p/b チャンピオンシステム)
雨澤毅明(那須ブラーゼン)
NIPPOを中心にメインは容認、大きく差が開いていく。
やがて本日唯一のHS、ここをベンジャ2位通過。この頃にはメインとの差9分を超えるが依然NIPPOがメインコントロール。
先頭メンバーは強力であり、順調に逃げ続ける。
やがて100kmを過ぎ、徳田、雨澤が脱落。ベンジャは5名で尚も逃げ続ける。メインは7~8分差を保っている様子。
状況変わらず逃げる5名。2つ目KOMを過ぎた170地点辺りから、徐々にメインが動き出した。
ペースを上げ始めるのは先頭に乗せていないNIPPOとチーム右京。残り30kmほどでタイム差5分強。
残り20km辺りで先頭からトマがアタック、メインとの差は4分を切った。
トマは後続に40秒ほどまで差をつけて逃げる。残り10kmを過ぎ、いよいよメインが迫る。
残り3km辺りでベンジャら後続はメインに吸収、残るトマはあと僅か2km辺りで吸収された。
集団はひとつ、最終ステージはやはり集団のスプリント、残り1kmからはテクニカルなコーナーが続く。
残り300mで落車発生、集団は足止め食らい混乱。この中を抜けた残りで激しいスプリント。ホセも前方、しかし伸びきらず5位。
混乱した落車でリザルトは二転三転したが、残念ながら表彰台はならず。
しかし、終わってみれば総合ホセ4位、ベンジャ6位でUCIポイント獲得することができた。
「とてもとてもハードレースだった」と語るベンジャ。チームは最後まで全力戦った。続くレースへ向かいます。
☆監督のコメント☆
予定どうりホセは、簡単に行かせてくれへんと思ってたから
ベンジャが入ってええメンツで逃げてるし、終盤あのタイム差はいける
と思ったけど・・さすがプロコン。
この3日間このコースこのレース内容で
ボーナスなしでタイム差1秒取るとは・・さすが大門軍団、
今年もうちは1秒差でポディウム逃したな~、毎年1秒で
なんか取り逃がすからな~、3と4ではだいぶちゃうなこれ。
最後のチーム表彰もうちが3から4にUKYOUさんは2から5に転落
俺と土井の日ごろの行いが悪いんかな~やっぱ。
〔ステージ結果〕
1位 リカルド・スタキオッティ(NIPPO-ヴィーニファンティーニ)4:40’39”
2位 ダニエレ・コッリ(NIPPO-ヴィーニファンティーニ)+00″
3位 黒枝咲哉(鹿屋体育大学)
4位 セッペ・ヴェルスヒュレ(CCT p/b チャンピオンシステム)
5位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
6位 大久保陣(宇都宮ブリッツェン)
33位 吉田隼人(マトリックスパワータグ)
40位 ベンジャミ・プラデス(マトリックスパワータグ)
65位 安原大貴(マトリックスパワータグ)+6’05”
71位 アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)
〔個人総合〕
1位 リカルド・スタキオッティ(NIPPO-ヴィーニファンティーニ) 13:24’04”
2位 ダニエレ・コッリ(NIPPO-ヴィーニファンティーニ)+07″
3位 サルバドール・グアルディオラ(チーム右京) +17″
4位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ) +19″
5位 西薗良太(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +20″
6位 ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ) +21″
24位 吉田隼人(マトリックスパワータグ)+2’01”
50位 アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)+17’32”
74位 安原大貴(マトリックスパワータグ)+36’00”
〔ポイント総合〕
1位 リカルド・スタキオッティ(NIPPO-ヴィーニファンティーニ)55p
2位 リカルド・スタキオッティ(NIPPO-ヴィーニファンティーニ)53p
3位 ホセ・ヴィセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)36p
〔山岳賞総合〕
1位 ロイック・デリアック(キナンサイクリングチーム)18p
2位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサクリングチーム)15p
3位 ジャコモ・ブルラート(NIPPO-ヴィーニファンティーニ)12p
〔チーム総合〕
1位 NIPPOヴィーニファンティーニ 40;13’20”
2位 チームブリヂストンアンカー +0’01”
3位 キナンサイクリングチーム
4位 マトリックスパワータグ
photo by Hideaki TAKAGI