RACE REPORT

かすみがうらロードレース

日付:
2021年10月17日
開催地:
茨城県かすみがうら市 坂・田伏 特設コース(4.8㎞周回コース) 茨城県かすみがうら市坂4784
距離:
105.6km(4.8km×22周回)
天候:
暴風雨 11℃
出走:
ホセ ビセンテ トリビオ, 小林 海, 小森 亮平, 安原 大貴, 吉田 隼人, レオネル アレクサンダー キンテロ

Jプロツアー第19戦
レースレイティング:シルバー

“酷雨のサバイバルレース、チーム総力で守りきったJプロツアーリーダー。
ホセ・ビセンテ・トリビオ個人総合優勝‼チーム総合優勝‼Jプロツアー完全勝利!!!”

予報は出ていたが、それ以上の悪天候となった最終戦。朝から激しい風に土砂降り、そして気温はかなり下がり初冬の寒さ。湖岸近くでは激しい風雨で直進すらままならない状況、午前のエリートクラスでは非常に過酷なレースとなったもよう、午後のスタートまでに少しでも状況明るくなる事を祈りつつ、スタートへの準備を進める。

翌週に2年ぶりに開催されることになった全日本選手権を控えていることもあり、いつもより出走メンバーは少なめ。選手にとって選手権は競技人生を懸けるほど特別で神聖な尊きもの、集中するため出走しない選択は十分理解できる。しかしマトリックスにとってJプロツアーの総合優勝は何よりも掲げる目標、先ずはここに向かって集中する。一番の脅威はやはり総合2位の岡本 隼(愛三工業レーシングチーム)、前日のアドバンテージから逆転の可能性は岡本が優勝すること。スプリンターでもある岡本は集団スプリントとなれば勝利する可能性が高い、愛三工業レーシングチームも間違いなく集団スプリントへの展開を狙ってくると思われる。マトリックスがその展開を阻止するためには、逃げ展開へ持ち込むことが最良。チームは前夜のミーティングで最後の意思統一をする。

新設レースのこのコースは、湖岸ストレートから長閑な農道を通り、どことなく欧州を思わせるようなクラシカルな風景。しかし1周4.8㎞と短い周回の中でキツイ上りや道幅狭いクランクを含み落ち着く箇所が少ない。悪天候なこともあり、予想どおりレースは周回毎に人数を減らしていくサバイバルレースとなった。

午前からの雨は緩む気配がないまま、叩きつける雨音の中でスタート。アップダウンや風雨の影響もあり集団は一列棒状での2周目、逃げ名人の入部のアタックをきっかけに数名が反応、ここに小森も反応して4名が抜けた。

小森亮平(マトリックスパワータグ)
入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)
山本哲央(TEAM BRIDGESTONE Cycling)
平井光介(EQADS)

入部を筆頭に、今シーズン幾度も強い逃げを見せてきたメンバーが揃った。もちろん小森も馴染みのメンバー、このメンバーでの逃げは固い、マトリックスにとって早くも勝機を窺わせる。

そしてメインは愛三工業レーシングチームが先頭を固め、タイム差1分前後でコントロールをする。逃げのメンバーはペース緩めずきっちり7分弱、このペースが決して楽ではない証拠に一見安定的に見える集団からは周回毎にどんどん人数が減っていく。

マトリックスは愛三トレインの後ろに隊列、そしてTEAM BRIDGESTONE Cycling。この先頭とメインとの根競べはこのまま後半まで続いていく。

レース折り返し12周目辺りから風雨は少し緩んできたが、メインは40名ほどとなる。先頭は愛三工業レーシングチームが変わらず牽き続ける中、14周目にヤングライダーの湯浅博貴、山田拓海(EQADS)2名が追走かけようと飛び出した。

余計な動きを阻止すべくメインはペースアップ、16周目には2名を吸収するが、その勢いのまま先頭まで30秒差に迫る。

残り5周、更に縮まるタイム差に先頭の逃げはあわやここまでか…と思わせるメインのペースアップだったが、18周目にはそのペースを緩めた(緩んだ?)。集団スプリントへ持ち込むのがまだ早いとの判断なのかは不明だが、先頭との差はまた40秒ほどに戻っていく。そして、荒天の中でのコントロールに力尽きたのか、ここまで徹していた愛三ブルーの壁が崩れ始めた。ひとり、またひとりと人数が減っていく。メインの人数も30名ほどに減っていた。

しかしこの追い上げる動きを警戒し先頭は更にペースアップ、20周目にはタイム差50秒。メインも残る愛三メンバーでペースアップをかけているが牽いているのは3名ほど。先頭では小森も懸命に引き上げ、ついにタイムは1分を超えていく。

残り2周、先頭との差は1分30秒、逃げ切りは確実になってきた。崩壊した愛三トレインに代わり、マトリックスがホセを囲み前面に出てくる。

そして先頭からは入部がアタック、それを追い山本、平井、そして小森とバラバラの単走でラストラップへ。先頭では最後の勝負が始まった。メインではホセの総合を確信したマトリックスがし最後の勝負を小森へ託す。

アタックをかけた入部の勢いに追走は届かない。このレースの最速ラップに近いペースで入部は逃げ切り、堂々ゴール。今シーズンを最も多く逃げた全日本チャンピオンはそのチャンピオンジャージ着用のラストレースを見事勝利で飾った。

そして、入部を追った順に山本、平井、小森がゴール。小森はチーム狙い通りに逃げ切り展開へ持ち込み、ツアー勝利を確実なものにしてくれた。

続くメインは1分20秒ほどでの集団スプリント、マトリックスが固める中で先頭を獲ったのは岡本。その走り、やはりスプリント勝負に持ち込まれたら脅威であったろう。

そしてホセを護り固めたマトリックスが6〜9位で揃いゴール!皆でしっかりと勝利を実感しながら最終戦のフィニッシュラインをきり、ホセの個人総合優勝、そしてチーム総合優勝とツアー完全勝利を果たした!!


最後にラストランとなったアイランもゴール。チーム筆頭の名アシストは最後までチームのために走り勝利へ貢献した。そっと肩をたたく監督、そして皆でアイランを囲み抱き合い称え合う。

シーズン後半は苦戦が続きましたがチーム結束力で勝利することができました。最高のチームワークで掴んだ勝利に一同歓喜しております。
応援いただく皆様に支えていただき、今季も歓喜でツアーを終えることができました。ありがとうございました。

直ぐに切り替え2年ぶりの全日本選手権、日本一を決める頂上決戦がシーズンを締め括る最終戦となります。選手それぞれ格別な思いを抱き、シーズンを総括する大切な一戦。今回の覇業を成し遂げた自信は大きな糧となることでしょう。今は静かに集中し、決戦の時へ備えています。
引き続き応援のほど、よろしくお願いいたします。

Photo by Satoru Kato,Shizu Furusaka,Itaru Mitsui,Sho,Oba

【結果】
1位 入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム) 2時間28分47秒
2位 山本哲央(TEAM BRIDGESTONE Cycling) +00‘06”
3位 平井光介(EQADS) +00’34”
4位 小森亮平(マトリックスパワータグ) +01’05”
5位 岡本 隼(愛三工業レーシングチーム) +01’23”
6位 フランシスコ マンセボ(マトリックスパワータグ) +01’:24”
7位 安原大貴(マトリックスパワータグ)
8位 ホセ ビセンテ トリビオ(マトリックスパワータグ)
9位 小林 海(マトリックスパワータグ)
12位 レオネル キンテロ(マトリックスパワータグ)
16位 吉田隼人(マトリックスパワータグ)
28位 アイラン フェルナンデス(マトリックスパワータグ)

【個人総合】
1位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ) 3305p
2位 岡本 隼(愛三工業レーシングチーム)    2980p
3位 今村駿介(TEAM BRDGSTONE Cyclimg) 2445p

【チーム総合】 
1位 マトリックスパワータグ       9385p
2位 TEAM BRDGSTONE Cyclimg 8306p
3位 愛三工業レーシングチーム    6777p