RACE REPORT

ジャパンカップ・クリテリウム

日付:
2024年11月22日
開催地:
栃木県宇都宮市 大通り周回コース 2.25km/1周
距離:
33.75km(2.25km×15周回) スプリント賞×3回 4,8,12周回
天候:
曇天 気温20℃
出走:
アイラン フェルナンデス, ホセ ビセンテ トリビオ, 佐野 淳哉, 安原 大貴, 向川 尚樹

UCIアジアツアー クリテリウム

Jプロツアーが終わりいよいよシーズンの締め。国内最大に熱くハイレベルなレース、ジャパンカップをもってUCIアジアツアーの年度シーズンは終了となる。UCIレースカテゴリー超級・オークラスに認定されたこのレースはUCI最高ランクのワールドチームが参戦し、普段は映像でしか見られない世界トップクラスの選手たちの走りをリアルに見ることができる最高の機会。そして併催されるようになったこのクリテリウムはまさにファンへのお披露目を伴う華やかなレース。宇都宮市街地中央の大通りで行われ、その華やかさを最大に演出する。

前夜に行われるチームプレゼンテーション

今季からのUCI規定変更に伴い参加人数が大幅に拡大、例年1チーム5名で70名ほどだったが1チーム6名へ変更され今年は126名。そしてファンたちが待ち望むワールドチーム5チームを含みとても大規模でハイレベルなレースとなる。先ずはその大人数でのクリテリウム。更にクリテリウムスペシャルチームが加わるため129名での出走となる。規模拡大は喜ばしいが大人数クリテリウムだけによりレベルは上がる。
そして必ず1日は雨。。。とジンクスになっていた天候は奇跡のような2日間とも晴れ予報。秋の夕暮れ近く、街路樹のようにぎっしりと大通りを囲む観客と歓声の中、パレードランを経て華やかにレースがスタートした。

コースは大通り1直線の折り返し。スタート/フィニッシュ側は上り基調、バック側は下り基調、下りついて折り返しUターンからゴールまでは上り基調600mと短く、立ち上がりの位置取りが全てとなるコース。
マトリックスはアイランを筆頭に上位を狙う。UCIポイントはつかないが20位までが賞金圏内、そして4周回ごと3回設定されているスプリント賞も見せ場。TV中継も入り最大のアピールの場であるこのレースでは各チーム様々にアピールも思考する。

スタートから目の覚めるようなハイペース、大人数の集団は引き伸ばされ長く長く棒状となり端から端へ繋がるかと思われるほどだが、トップクラスの集団は横への広がりがなくコンパクトに収まり大人数には見えない。散発的なアタックが入れ替わりかかる中、メインはトレック・セガフレードがしっかり固めてコントロール。マトリックスは縦長集団の中後方、前に上がるのも容易ではない。やがて1回目のスプリント賞への動き、3周目から飛び出したタデイ・ポガチャル(リュブリャナ・グスト・ザウラム)にビッグネーム、ロベルト・ヘーシンク(チーム・ロットNL・ユンボ)が反応、そこへ武山晃輔(チーム右京)が加わり大歓声の中スプリントポイントへ、獲ったのはポガチャル。集団は直ぐにトレックが隊列を整え落ち着きを見せる。

再びトレックがコントロールのまま2回目のスプリントへ、今度は日本人ライダーでの争いとなり新城雄大(キナンサイクリングチーム)と大久保陣(チームブリヂストンサイクリング)での競り、獲ったのは大久保。
すぐさまトレックのコントロールに戻る。集団の動きやストーリーそのものを支配するかのような緩急で、スプリントポイントに限って緩めた動きのようにも見える。それ以外は各チーム前方へ上がろうとする動きを見せるがなかなか許されない。マトリックスも佐野、向川、大貴がそれぞれ前へ上がろうとするが引き戻される。

やがて3回目のスプリントへ、ここまでも大きな逃げは許されず集団前方でのスプリント。獲ったのは孫崎大樹(チームブリヂストンサイクリング)、3回のチャンスのうちチームで2回を獲り大功績。スプリントポイントを終えると残り2周、ここからゴールへ向けて一気に動き出す。マトリックスはアイランとホセがこれまでずっと集団後方位置で様子を窺っていたが、少しずつ前方へ移動し始める。集団はトレックが再びコントロールで固めたが、ミッチェルトン・スコットや大分クリテリウムでも活躍したオーストラリアン・サイクリング・アカデミーが隊列を組んで重ねて上がってくる。集団前はこの3チームの隊列が入れ替わりながら激しい位置取り争い、その間にアイランとホセは更に前へ位置を上げラストラップへ。

先頭を固めているのはミッチェルトン・スコット、そしてオーストラリアン・サイクリングアカデミー。トレック・セガフレードは一旦後退したかのように見えながらのバックストレート。先頭はトップクラス達の隊列で固められ前方への隙を与えない、そして最後の折り返しUターン。ここを絶妙な捌きで頭をとったのはトレック・セガフレード。その隊列は見事に後方を押さえ直線を立ち上がる。その後ろは隊列崩れた個々の争いでカオス、アイランも危険回避で一旦位置を下げてしまうが立ち上がりゴールへの一斉スプリントへなんとか位置を上げていく。先頭では昨年完全勝利を収めたマルコ・カノラ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)とスプリンター揃いのチームからキャメロン・スコット(オーストラリアン・サイクリング・アカデミー)でのスプリントへ。その後方からかけてきたのは世界的スプリンター、ジョン・デゲンコルプ(トレック・セガフレード)。先行する二人を捲り車身差でのゴール、2位スコット、3位カノラ。国内ではJプロツアーチャンピオンの窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)の8位が最高位。マトリックスの最高位はアイランの21位、惜しくも賞金圏内へ届かず。

ゴール直後に狙ったかのような大粒の雨が降り出した。しかし翌日本戦は快晴の予報、雨とともに悔しさも流し翌日の本戦へ備える。


【結果】
1位 ジョン・デゲンコルプ(トレック・セガフレード) 0:42:38
2位 キャメロン・スコット(オーストラリアン・サイクリング・アカデミー)
3位 マルコ・カノラ(NIPPOヴィーニファンティーニ)
4位 ロバート・スタナード(ミッチェルトン・スコット)
5位 レイモンド・クレダー(チーム右京)
6位 ローガン・オーウェン(EFエデュケーションファースト・ドラパック)
7位 サムエル・ウェルスフォード(オーストラリアン・サイクリング・アカデミー)
8位 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)
9位 鈴木龍(宇都宮ブリッツェン)
10位 アルベルト・ベッティオール(BMCレーシング)
11位 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
12位 黒枝咲哉(シマノレーシング)
13位 マッティ・ブレシェル(EFエデュケーションファースト・ドラパック)
14位 マヌエーレ・モーリ(クリテリウム・スペシャルライダーズ)
15位 シャルル・プラネ(チームノボノルディスク)
16位 別府史之(トレック・セガフレード)
17位 サラウト・シリロンナチャイ(タイランド・コンチネンタル・サイクリングチーム)
18位 中島康晴(キナンサイクリングチーム)
19位 プーチョン・サイウドンシン(タイランド・コンチネンタル・サイクリングチーム)
20位 下島将輝(那須ブラーゼン)
21位 アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)
40位 佐野淳哉(マトリックスパワータグ)
48位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
66位 安原大貴(マトリックスパワータグ)
87位 向川尚樹(マトリックスパワータグ)


photo by Satoru Kato