RACE REPORT

ジャパンカップサイクルロードレース

UCIアジアツアー 1-HC(オークラス)

本戦ロードレースはアジアのワンデーレースで唯一のUCIレースカテゴリー最高位、超級・オークラスに認定された大会。2018年度のUCIアジアツアーはこの大会をもって終了となるが、この結果は来シーズンのジャパンカップ選考の対象ともなる。前日のクリテリウムでの世界トップクラス達の走りはやはり圧巻、この相手にどれだけ太刀を浴びせることができるか、今一度奮い立たせ引き締めレースへ臨む。

2015年から14.1kmコースから現在の10.3kmコースへ変更されたことで周回数が増え、きつい勾配で定評のあるこのコースは更にアップダウンが凝縮されレース展開はより厳しさを増している。3周回毎にKOMポイントに設定されている計4回の山岳賞がレース展開の鍵、これまでも最後の山岳賞前後から終盤へ向けて動き変わるパータンが多く、また前半の山岳賞は見せ場目的を容認するのもお約束となっている。
クリテリウム直後に降った雨は深夜には上がり、当日は雲ひとつない爽やかな晴天で汗ばむほど。ステージサインを終えて華やかに熱いレースがスタートした。

スタートからすぐにKOMへの上りへ向けてアタックがかかる。今季で引退を表明している山岳スペシャリストのオスカル・プジョル(チーム右京)のラストレース、予想どおりスタートからプジョルがアタック。ここに反応した同じく山岳強いTOJ覇者のリカルド・ガルシア(キナンサイクリングチーム)と共に強烈な逃げを打つ。ラップタイムは15分とかなりのハイペース、メインとは20秒の差で1周回を完了すると既に後ろは置いていかれるパックが出来ている。

マトリックスは集団内後方、前方は地元の宇都宮ブリッツェンが固めている。ハイペースのプジョルとガルシアにクーン・ボーマン(オランダ、ロットNLユンボ)が単独で追いつき先頭3名、メインとは1分をつけて3周目1回目の山岳賞へ。獲ったのはガルシア、先頭の3名は山岳賞を争いながらそのペースを落とさず先行、メインは容認としているがそのペースは休めるほどの余裕は持てない様子。メインは宇都宮ブリッツェン、ミッチェルトン・スコット、ロットNL・ユンボが固めている。例年、前半の逃げに日本人ライダーが入るのだが、いきなりのストロングな逃げ打ちに乗ることができず、山岳賞へ絡むのは難しくなってしまった。宇都宮ブリッツェンが先頭に立ち総勢でメインを引きその差1分30秒ほどでコントロール、マトリックスは集団内後方。

やがて6周目2回目の山岳賞をボーマンが獲り、先頭3名は滞りなく回している様子。メインは宇都宮ブリッツェンが粘り続けタイム差も変わらず。しかし容易なペースではないのか集団は徐々にその人数を減らしている。少しずつ先頭のペースが落ちてくるがメインも落ち着き8周目にはその差2分まで広がる。そして9周目3回目の山岳賞へ。ここはプジョルかと思われたがボーマンが獲ったとの情報に協調ムードではない様子が窺える。ボーマンはそのまま単独走へ、そしてメインはまたペースが上がり1分30秒をきってくる。この動きで集団からは離脱する者が出てくる中、マトリックスは佐野が遅れてしまう。

ボーマン単独のまま11周目に入る。プジョル、ガルシアは集団に吸収されるがここでメインはワールドチームを中心に一気に動く。ボーマンを先行させていたロットNL・ユンボがロバート・ヘーシンクを筆頭にペースアップをかけKOMへの上り区間で集団は崩壊。この時の位置取りが全てとなり、機に備えていた選手が前に残ることとなる。マトリックスはホセと大貴が粘るが、ワールドチーム主導の中で前位置を上手くとることができず国内チームの殆どは後ろのグループへ置いていかることとなってしまう。ロットNL・ユンボを中心に崩壊した集団から抜けた20名ほどがKOM手前でボーマンをキャッチし、アタック戦を続けながら先頭16名に絞り込まれる。

クーン・ボーマン、ロバート・ヘーシンク、アントワン・トールク、ダーン・オリヴィエ(ロットNL・ユンボ)
中根英登、マルコ・ティッツア、イヴァン・サンタロミータ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)
ロブ・パワー、ジャック・ヘイグ(ミッチェルトン・スコット)
クーン・デコルト、ファビオ・フェッリーネ(トレック・セガフレード)
ニコラス・ロッシュ(BMCレーシング・チーム)
マッティ・ブレシェル(チーム・EFエデュケーション・ファースト・ドラパック)
タデイ・ポガチャル(リュブリャナ・グスト・ザウラム)
トマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)
増田成幸(宇都宮ブリッツェン)

始めの逃げ打ちから流れを繋いだロットNL・ユンボが有利に進める。後続グループでも激しいアタックが続いており幾度もシャッフルされる状態が続く。12周目、最後の山岳賞へ向けて後続からの追走も加わり入れ替わりながらの上り区間、最後の山岳賞を獲ったのはロットNL・ユンボのアントワン・トールク。ホセは3つ目10名ほどのグループに位置し前に上がるのは難しい。最後の山岳賞争いから更に6名が抜け先行し13周目へ。

アントワン・トールク、ロバート・ヘーシンク(ロットNL・ユンボ)
ロブ・パワー(ミッチェルトン・スコット)
ニコラス・ロッシュ(BMCレーシング・チーム)
イヴァン・サンタロミータ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)
マッティ・ブレシェル(チーム・EFエデュケーション・ファースト・ドラパック)

国内代表する強者の増田成幸(宇都宮ブリッツェン)や追走をかけた大分アーバンクラシック勝者の石上優大(ジャパン・ナショナルチーム)も粘ったが入れず20名ほどのセカンドグループへ。ホセはその後ろ20名ほどのグループで先頭から2分で通過する。先頭は2名を残し有利に進めているロットNL・ユンボのヘーシンクが巧みにコントロールをする。後続は協調がとれずペースが上がらない、そこから昨年の覇者マルコ・カノラ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)が単独飛び出し追走を開始、そしてラストラップヘ。

先頭はヘーシンクがしっかり抑えたままKOMへの上りへ入っていく、追走の情報を受けてかサンタロミータは後方でカノラを待つ様子を見せる。カノラまでは40秒、そしてその後ろ20名のグループまでは先頭から1分。勝負は先頭6名に絞られた。ホセはその次20名弱のグループで2分以上、UCIポイント圏内の40位以内を目指す。

先頭では上り区間でのアタック戦が激しくなり、パワーとトールクが仕掛け合いながら最終KOMを通過し2名で抜ける。残る3名は追うことができず2名先行のままゴールへのマッチスプリントへ。制したのはロブ・パワー、ここまで有利にレースを進めてきたロットNL・ユンボは最後に勝利を逃す悔しい結果となった。

残る後続から国内は中根英登の12位が最高位、日本人ライダーは10位以内に入ることができず今年のジャパンカップのレースレベルの高さが窺える。マトリックスはホセの38位が最高位で何とかUCIポイント圏内でゴールした。来年のジャパンカップは更なるレベルアップが予想されているが堂々チャレンジしていきたい。残るUCIレースはツール・ド・おきなわ、最後まで引き締めレースをしていきます。

【結果】
1位 ロブ・パワー(ミッチェルトン・スコット) 3時間44分00秒
2位 アントワン・トールク(ロットNL・ユンボ)
3位 マッティ・ブレシェル(EFエデュケーションファースト・ドラパック) +40秒
4位 ニコラス・ロッシュ(BMCレーシングチーム)
5位 イヴァン・サンタロミータ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) +42秒
6位 マルコ・カノラ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) +2分02秒
7位 ロバート・ヘーシンク(ロットNL・ユンボ) +2分07秒
8位 ロバート・スタナード(ミッチェルトン・スコット) +2分26秒
9位 クーン・デコルト(トレック・セガフレード)
10位 ロビー・ハッカー(チーム右京)
11位 タデイ・ポガチャル(リュブリャナ・グスト・ザウラム)
12位 中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)
13位 ファビオ・フェッリーネ(トレック・セガフレード)
14位 ベンジャミ・プラデス・レヴェルテル(チーム右京)
15位 フレディ・オヴェット(BMCレーシングチーム)
16位 雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)
17位 石上優大(ジャパン・ナショナル・チーム)
18位 トマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)
19位 サルバドール・グアルディオラ(キナンサイクリングチーム)
20位 ダーン・オリヴィエ(ロットNL・ユンボ)
38位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
51位 安原大貴(マトリックスパワータグ)
DNF アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)
DNF 佐野淳哉(マトリックスパワータグ)
DNF 向川尚樹(マトリックスパワータグ)

【山岳賞】
3周目 マルコス・ガルシア・フェルナンデス(キナンサイクリングチーム)
6周目 クーン・ボーマン(ロットNLユンボ)
9周目 クーン・ボーマン(ロットNLユンボ)
12周目 アントワン・トールク(ロットNLユンボ)


photo by Satoru Kato