RACE REPORT

JBCF 秋吉台カルストロードレース

“アイラン・フェルナンデスが優勝!佐野淳哉2位、ホセ・ビセンテ3位とマトリックス表彰台独占!!”

Jプロツアー第15戦

山口県でのJプロツアー2連戦、初日は新規開催のロードレース、2日目はクリテリウムでこの秋の三連休を華やかに飾るイベントレースともなっていた。
しかし、大型の台風18号到来により残念ながら2日目のクリテリウムは中止。1日目のロードレースも5周回147.5kmから4周回118kmへ減らして開催することとなった。

このロードレースコースはいずれUCIレース開催を目標に設定された1周29.5kmもある大周回。過去に山口国体でも使用されたコースを含んだアップダウン激しいコース。
そして自然の芸術品と言われるカルスト台地では日本最大級で知られる秋吉台も含まれ、美しい景観に激しいバトルを融合させた新たな創造空間が用意されている。
スタート/ゴールはコース上トップの標高地点。大周回ながら平坦区間は殆どなく、周波数のようにアップダウンを繰り返しながらカルスト台地を往復、最後のゴールへの上り区間はなんと最大勾配20%を超える激坂カルストベルグ。

今回のレースはAAAとレイティングも高い、ホセの総合へ王手をかけていくためにも残りのロードレース3戦は非常に重要。
間違いなくサバイバル戦となるであろう予想でチームは戦略を立てる。

当日は朝からしっかり雨。風はなく予報ほどの台風らしさはないが徐々に雨足は強くなる見込み。気温は低くなく少し蒸し暑い。
正午、89名でレースがスタートした。

スタートからアタックがかかりペースが上がる。早々から佐野がかなり積極的にアタックをして集団を揺らしている。
マトリックスは佐野のアタックに大貴、田窪らも交互に加わりながら集団をかき回す。吸収されても佐野はしつこくアタックを繰り返し集団は割れて15名の先行グループに。
しかしそれでも佐野は緩めない、まだまだアタックをし続けている。最後のカルストベルグへ入ると佐野が引いてきた集団は大貴を含む11名、そして佐野は中間スプリント賞を獲りながら先頭で2周目に入っていく。
佐野はそのまま単独走で先行、後ろは徐々に離れ15名ほどの追走集団となる。ここにマトリックスはホセ、田窪、アイラン、向川、大貴が入っているが、単独追走に出た馬渡伸弥(宇都宮ブリッツェン)を追い田窪も出る。
田窪はそのまま佐野へ追いつきマトリックス2名で先行。後続はまた安定せずメンバーが入れ替わっていく。

やがて後続が追いつき佐野ら含む先頭は14名。マトリックスは佐野、アイラン、田窪、向川の5名が入る。ホセらメインとは20秒ほど。

佐野淳哉、アイラン・フェルナンデス、田窪賢次、向川尚樹(マトリックスパワータグ)
鈴木 譲、馬渡伸弥(宇都宮ブリッツェン)
才田直人、米谷隆志(LEOMO Bellmare Racing team)
水野恭兵、吉田悠人(インタープロサイクリングアカデミー)
谷 順成、白川幸希(VICTOIRE 広島)
西尾勇人(那須ブラーゼン)
佐藤信哉(VC Fukuoka・サイクルフレーダム)

シビアに反応してくるのはやはり宇都宮ブリッツェン。ここでも佐野は集団を落ち着かせない、更にアタックをかける。
ここに吉田、白川、佐藤が反応し先頭4名。アイランら後続とは30秒、しかしホセらメインとは更に差が開き1分を超えてきた。
最後の上り区間に入ると佐野らは沈静しバラけつつある後続とひとつ。ホセらメインとは1分30秒を超え安心はできないタイム差に・・・、ここでホセが単独アタックをかける。
ホセが物凄い勢いで前を追う、吉岡直哉(那須ブラーゼン)がつくが激坂区間で離されていく。

先頭は佐野が引きながらコントロールラインを越えて3周目の下りへ、やがてホセが単独で追いついた。
先頭はホセを含み15名、マトリックスは5名を含み圧倒的に優勢、残り2周を着実に勝利へ向けて進めていく。
まだ先頭の人数が多い、本日攻め倒しの佐野がまたもやアタックをかける。

先ずは佐野がアタック先行、ここへホセも自らアタックをかけて周囲を挑発する。アイラン、田窪、向川とマトリックスが波状攻撃をしかける。
やがてホセを含む6名が抜け、後続を切り離しにかかる。

先頭はホセ、佐野、アイラン、馬渡、西尾、白川の6名。後続からの追走の動きを確認すると、更にアタックをかけていくが谷がカルストベルグで追いつき先頭7名。
佐野を先頭にラストラップへ入る。

佐野は容赦せず台風の如く暴れ続ける、ここでまたもやアタックし単独先行、そこへアイランが追いつき2名が先行する。追走しようとする後続で落ち着いているホセは機を見計らったかのようにアタック。
反応する馬渡を振り切り先頭へ追いつく。ゴールまで残り5kmほど、マトリックス3名は快調に回して後続との差を広げていく。最後の上り3km地点では既に後続へ1分、勝利が見えてきた。

チームカーの監督と確認をとり、3名でゴールを目指してカルストベルグを上っていく。そして、その一部始終をライブビューイングで見守るゴール地点へ3名が揃って姿を見せ、歓声が上がる。
アイランを挟みホセ、佐野と3人で手を繋ぎ高く揚げる。そして、アイランが高く、高く、「W」のサインを掲げ先頭でゴールラインをきり、続いて佐野、ホセもゴール!
「W」のサインはウェア左腕に刻まれた故・和田力のサイン。特に仲が良かったアイランは、2年前に亡くなった彼へ勝利を捧げたいと、ずっと抱いていた想いを天へ届けと高く掲げる。
そしてアイラン自身3年ぶりとなる悲願の優勝、チームにとってもJプロツアーでの表彰台独占は初めて、歓喜感涙の勝利となった。

このレースはチーム表彰もありマトリックスが優勝チームとして表彰台へ上がる。そして、前を引き倒した台風ライダー佐野は中間スプリント賞を独占。
ツアー総合もホセがしっかりとリーダーをキープしている。
この後も続くツアー後半戦。揺るがないチームワークで突き進んでいきます。

 

【順位】
1位 アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ) 3時間04分57秒
2位 佐野淳哉(マトリックスパワータグ)
3位 ホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)
4位 馬渡伸弥(宇都宮ブリッツェン) +57秒
5位 白川幸希(VICTOIRE 広島) +1分02秒
6位 飯野智行(宇都宮ブリッツェン) +1分53秒
7位 横塚浩平(LEOMO Bellmare Racing team) +2分10秒
8位 吉岡直哉(那須ブラーゼン) +2分20秒
9位 米谷隆志(LEOMO Bellmare Racing team) +2分22秒
10位 松島拓人(なるしまフレンドレーシングチーム) +2分34秒
DNF 向川尚樹(マトリックスパワータグ)
DNF 田窪賢次(マトリックスパワータグ)
DNF 安原大貴(マトリックスパワータグ)
DNF 土井雪広(マトリックスパワータグ)
DNF 吉田隼人(マトリックスパワータグ)

 

photo by Hideaki TAKAGI

JBCF タイムトライアルチャンピオンシップ

“佐野淳哉が優勝!!”

photo by Satoru Kato

Jプロツアー第14戦

Jプロツアー再開、後半戦のスタートは唯一の個人タイムトライアル(略称TT)戦、チャンピオンシップ。
黙々と己と戦う姿はロードレースとは一種異なるこの競技、これを得意とする選手は少ないが、ツアーランキング上位に位置する選手が多い。
先に行われた日本一の頂上決戦、全日本TTでもお馴染みのTTスペシャリスト達が名を連ね競い合う。
Jプロツアーは日本人のみならず外国人選手も参戦するところが更に競技層を厚くする。一見静かな競技に見えてもその内は己とそして互いの心理を探り合う非常に熱い冷戦。

昨年は、ダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) 19分43秒48 がトップタイム。
続く、西薗良太(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)19分50秒47、佐野淳哉(マトリックスパワータグ)19分55秒70
と、20分をきった辺りで秒差のバトルとなった。この20分が今年もボーダーラインとなるか、あとは風などのコンディションによる。

マトリックスはメンバーを絞り込み、全日本TTで悔しい2位となった佐野、過去この大会で勝利しているホセ、他大会での実績ある中川の3名で参戦。
自転車で盛り上がる栃木県での開催、地元の宇都宮ブリッツェンから長く療養中だった増田成幸、鈴木真理の両ベテランも参戦。
元気そうな姿を見せてくれたここと、何より同じスタートラインに立てたことがマトリックスチームとしてもとても嬉しい。会場は更に盛り上がる。

前日まで台風が影響し荒れていた天候だったが、無事過ぎ去り晴天。台風一過のような爽やかな秋空が広がり風もさほどではない。
しかしこのコースは午後から徐々に風が出てくるため、後半は風の影響も出てくる。
出走は1分30秒ごと、全60名ほどを4ウェーブに区切り、マトリックスは中川、佐野、ホセの順に各ウェーブに区分されてスタートとなる。

6番目に出走した鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)が大きくタイム更新でトップに立ち会場が沸くが、直ぐ後に出走の阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)が更に上回り20分11秒。
早々のこのタイムはしばらく更新されず、阿部が暫定トップのまま後半まで持ち込まれることとなる。
第2ウェーブで出走した増田成幸(宇都宮ブリッツェン)も20分13秒を出し暫定2位へ、完調ではないであろうがこのタイムには彼の強さを感じられずにはいられない。
勝負は早くも20分台に入るが、後続はなかなか20分台へ届かないまま第3ウェーブへ。

第2ウェーブで出走した中川   photo by Satoru Kato

1番スタートから1時間を過ぎ時刻は15:00近く。いよいよ佐野が14:51にスタート。
夕刻に近づくにつれ風が出てくるが、佐野は落ち着いた様子でスタートした。

先のトップタイムを上回るためにはラップタイム6分40秒台をキープ。しかしこの後に続々と上位勢が控えているため6分45秒以下を意識か。
1周目は6分48秒、後半型の佐野は徐々にペースを上げていき2周目を6分40秒、ここで暫定トップ、後はどれだけリードできるか・・・

第3ウェーブ出走の佐野。徐々に風が出てくる。 photo by gg_kasai


ラストラップ3周目、佐野の追い上げ凄まじくなんと6分31秒3!最高ラップタイムを大きく更新しゴール。
20分00秒8で大きくリードし暫定トップへ。しかし、最終第4ウェープにはブリヂストンアンカー勢、全日本TTチャンピオンの西薗良太、昨年の覇者ダミアン・モニエがいる。

注目の西薗が15:12にスタート。淡々と落ち着いた様子で走行し1周目を6分42秒、1周目のラップタイムはトップ。
2周目も乱れず6分41秒でペースキープ、ここまでは佐野を上回るがラストラップでペース上がらず、20分09秒9でゴールし佐野に届かず暫定2位。
続くダミアンやホセなどの外国人選手を含む上位陣も届かず、佐野の優勝!!念願のTTレースでの初優勝。

最終走者のホセ 
photo by Satoru Kato

「久しぶりに勝てたのでとても嬉しいです。2014年の全日本選手権ロード以来の勝利、そしてTTで勝てたことが嬉しい」とコメントする佐野。
ライバル達も佐野のもとへ来て「やっと勝てましたね」と祝福の声をかける。

「今度こそは・・・!と毎回思ってるけど、今までなかなかやった。今回も思いは半々やったけど今度こそやった!」と監督。

photo by Satoru Kato

photo by Satoru Kato

ツアーリーダーのホセも総合をキープ。この後直ぐに始まるツール・ド・北海道へ勢いつくよい繋ぎとなった。
この勢いで乗り込んでいきます。

 

【順位】
1位 佐野淳哉(マトリックスパワータグ) 20分00秒8
2位 西薗良太(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) 20分9秒9
3位 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) 20分11秒0
4位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) 20分13秒6
5位 ダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) 20分17秒8
6位 鈴木 譲(宇都宮ブリッツェン) 20分29秒8
7位 中村龍太郎(イナーメ信濃山形) 20分51秒6
8位 ホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ) 20分59秒9
9位 豊田 勉(エルドラード東北) 21分12秒6
10位 近藤正紀(なるしまフレンドレーシングチーム) 21分13秒0
18位 中川 智(マトリックスパワータグ) 21分33秒1

 

photo by Satoru Kato、gg_kasai