RACE REPORT

全日本選手権自転車ロードレース 

いよいよ最高峰のロードレース。毎週手合わせする面々との戦いだが選手権だけは格別、誰もが手にしたい日本一の称号。
この日のために日々の時間全てを費やし全身全霊を集中させて選手たちは臨んでくる。馴染みの面々も違った顔に見える。
マトリックスとて同じ、日本一を手にしてきた佐野や土井も含め新鮮なほどその表情はいつもと違う。
過去の例から見ても勾配のきついコースだけに自然に人数が絞られていく消耗戦となるであろう。完走もかなり少数になるとの予想。
チームの人数は揃っている、歴代チャンピオンのベテラン佐野、土井、そして好調の隼人を格として、このタイトルを全力獲りに行く。

コースは過去に選手権を含め幾つもの大きな競技大会で使用されている。合宿などでも使用されることも多く選手達には知られたコース。
繰り返すアップダウンは勾配がきつく休めるポイントは少ない。勝負どころと言われている特にきつい上りが5km地点と9km地点の2箇所でいずれも急な下り後の上り返し。
また、下り区間は道幅狭く曲りくねったコーナーの連続など競技者のレベルは選定されるコース。
周回14kmだがそれ以上に長く感じられる、下りコーナー部分は逆バンクなど危険を伴う箇所もあり雨天での走行にはかなり不安もある。

選手達から放たれる大いなる氣は大気まで影響するのか、当日心配されていた雨天は変わり雲がかっているが晴れ間がさし階上岳が見えてくる。
勝利の女神は階上岳から眺めているのか、刺さるような鋭い氣が立ち込める中、レースがスタートした。

スタートから下り基調の5km区間はパレード、しかし気が競るのか既に集団の速度は早く後方は千切れ始めている。
リアルスタートからハイペースで上り返しを経て次の下り区間へ。有力どころ各強豪チーム達は序盤のふるい落としに前方へ固まっている。
ひしめき合う強い氣が邪気までもを呼び寄せてしまったのか、先頭を走っていた選手がいきなりの落車。60kmほどのスピードが出ている中、後続は次々と巻き込まれ悪夢のような状況が広がる。
昨年の覇者である初山翔、堀孝明(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、岡篤志(宇都宮ブリッツェン)、内間康平(Nippo-Vini Fantini)、野中竜馬(キナンサイクリングチーム)など各チームの有力選手が、
そして、なんと隼人が、、、。他にも複数名、皆地面に叩きつけられ全身強打、酷い骨折など重症を負い非常に無念なリタイアとなってしまう。
それぞれチームを背負っているエース格のメンバー達、徐々に情報が入り状況が明らかになるにつれ、チーム側も愕然としてくる。

スタートして間もない状況に各チーム混乱しつつもレースは進行している。回避した選手達は徐々に集まりやがて集団回復。
2周目へ向けて窪木一茂(Nippo-Vini Fantini)がアタックし単独先行でコントロールラインを通過、続いて20名ほどの集団に土井、田窪、向川、続いて大集団。
少しづつ沈静したか窪木はキャッチされ、今度は高木三千成(東京ヴェントス)が単独先行、後ろは集団ひとつで30秒ほどの差で静観する構え。
しかし4周目には吸収され、代わって出たのは西村大輝(シマノレーシング)。メイン集団はここにも反応せず泳がす動き、西村は単独のまま徐々に差は開き1分ほどでしばらくレースは進行する。
集団は完全に落ち着き終盤へ向けての動きを整えている様子。マトリックスは土井を中心に落ち着いている。しかし既に集団は50名余、人数は絞られてきている。

やがて7周目に先頭の西村は吸収、集団はひとつでレース折り返し。集団の動きも活性し始め、人数は更に削り取られていく。8周目へ入ると数名が抜け4名の逃げグループができた。

雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)
鈴木龍(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)
椿大志(KINAN Cycling Team)
才田直人(LEOMO Bellmare Racing Team)

集団は一度落ち着き様子見となる。4名とのタイム差は徐々に広がっていき10周目にはその差2分。
一方のメイン集団も人数が絞られ既に30名ほど、マトリックスもここに残るのは土井、田窪、間瀬の3名となっていた。他強豪チームにはベテランも残っており戦況は思わしくない。
残り5周、メインから6名が抜け先頭は10名、ここにマトリックスは入らず、前を追うことになる。
この動きでメインは人数を減らしながらも翌周回には先頭をキャッチ。既に残っているのは25名、残念ながらマトリックスは土井のみとなってしまう。
シマノレーシング、Nippo-Vini Fantini、Team UKYO、ブリヂストンアンカーサイクリングチームなど、強豪チームはまだ3名以上残っており、土井は非常に厳しい状況に置かれた。

13周目残り3周へ、メインから今度は3名が逃げを打つ。

鈴木龍(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)
湊 諒(シマノレーシング)
森本誠(イナーメ信濃山形)

追う動きでメインはばらけ、セカンドグループに土井が入る。

土井雪広(マトリックスパワータグ)
畑中勇介(Team UKYO)
才田直人(LEOMO Bellmare Racing Team)

やがて先頭に土井ら3名は合流し先頭6名。このメンバーでは土井、畑中を有力としてその動きに注目する。まもなく13周目を終える辺りでこの中から畑中がアタック、単独逃げ始めた。
反応できず揺れる状況に後方から平塚吉光(Team UKYO)、入部正太朗(シマノレーシング)が追いついてきた。今度は入部がアタックし単独追走を始める。
残り2周、この動きにもセカンドグループは動き定まらずペースが緩み、また数名が合流し12名となる。
その間に畑中は快調に逃げ続け、既にその差1分以上に開いていた。

やがてセカンドグループは入部を吸収、シマノレーシングが4名も残している。

土井雪広(マトリックスパワータグ)
入部正太朗、湊 諒、西村大輝、木村圭祐(シマノレーシング)
鈴木龍、石橋学(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)
平塚吉光(Team UKYO)
雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)
早川朋宏(愛三工業レーシングチーム)
小石祐馬、小林海(Nippo-Vini Fantini)
森本誠(イナーメ信濃山形)
別府史之(Trek Segafredo)

ついにラストラップへ。追走の動きは定まらず畑中との差は更に広がり2分、かなり厳しい状況となってきた。
またも入部が抜け、西村、別府と追走をかけるが別府が落車で離脱、続いて木村と小林が追いつき、シマノレーシングが次々と動く。
もう畑中へ追いつくことは難しい、後続は次なる順位へ向けての最終争い。そして畑中はおよそ2分近い大差での逃げ切り優勝、自身初という全日本チャンピオン、その姿は震えるほど神々しさに満ちていた。
激しいアタック戦を打破しながら別府が2位、そして木村3位、土井も最後まで粘るが13位でのゴール、UCIポイント圏内には届かなかった。

早々の孤立状態の劣勢感にはやはり思うように動けなかった、そして畑中は強かった。最後までチームとして機能しているシマノレーシングは勢いがあり10位以内に4名、リザルトが物語っている。
そうコメントする土井。チームとしても様々な悔しさや反省点などが残るが、これが現チームの表れ。整え次へ繋げ向上していきます。

 

【結果】
1位 畑中勇介(Team UKYO)5h32’46”
2位 別府史之(Trek Segafredo) +1’43”
3位 木村圭佑(シマノレーシング) +1’44”
4位 鈴木龍(ブリヂストンアンカー)
5位 西村大輝(シマノレーシング)
6位 早川朋宏(愛三工業レーシング)+1’45”
7位 雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)
8位 平井栄一(Team UKYO) +1’47”
9位 湊涼(シマノレーシング) +1’48”
10位 入部正太朗(シマノレーシング) +1’56”
11位 石橋学(ブリヂストンアンカー) +2’03”
12位 小林海(Nippo-Vini Fantini) +2’06”
13位 土井雪広(マトリックスパワータグ) +3’43”
14位 高岡亮寛(Roppongi Express) +8’17”
15位 小石祐馬(Nippo-Vini Fantini) +8’19”
16位 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) +8’36”
17位 秋丸湧哉(シマノレーシング)
18位 横塚浩平(LEOMO Bellmare Racing Team) +9’35”
19位 森本誠(イナーメ信濃山形) +12’59”
20位 平塚吉光(Team UKYO) +13’56”

 

photo by Hideaki TAKAGI