RACE REPORT

JBCF石川サイクルロードレース

Jプロツアー第13戦(レイティングAAAA)

自転車競技部の名門、学法石川高校からスタートする伝統的な公道レースで今年で17回目。これまで幾多のトップ選手が競技してきたレースで、アップダウンが続きながらもスピードが緩まないハードなコース。レイティングはAAAAと高設定、個々の実力差がしっかりと出る。そして海の日連休に辺りの開催が多く、夏本番の猛暑との戦いも伝統的である。全国的に熱中症警報などが出されている当日、石川町では午前中から30℃を超えレース中は35℃に達する猛暑日となった。

スタートから強豪トップチームでのアタック戦となり、早々からの互いの消耗を誘い合う。マトリックス、宇都宮ブリッツェン、シマノレーシング、KINAN Cycling Team、チームブリヂストンサイクリング、那須ブラーゼン。マトリックスはホセが積極的にアタックをかけ、2周目に入る頃にはホセと向川を含む8名の逃げができる。

ⓒSatoru Kato

ホセ・ビセンテ・トリビオ、向川尚樹(マトリックスパワータグ)
木村圭佑、中田拓也(シマノレーシング)
雨乞竜己、山本大喜(KINAN Cycling Team)
堀孝明(チームブリヂストンサイクリング)
柴田雅之(那須ブラーゼン)

ⓒSatoru Kato

メンバーに各強豪チームが入っていることからメインは容認するが、宇都宮ブリッツェンが入っていない。メインはブリッツェンがコントロールすることとなり前面を固める。通常であればもう少しタイム差をつけて前後ともに緩むところだが、ホセが入っている警戒を含むのか1分程度で睨みを利かせながら緩みきらないコントロールを続ける。これは強豪宇都宮ブリッツェン自らの消耗を促すことにもなり、マトリックスにとっては有利な先攻でレースが進行することになる。

ⓒShizu Furusaka

ⓒShizu Furusaka

しかし酷暑とハードなコース周回に徐々に脱落者が出始め、メインは少しずつ人数が減っていく状況だが宇都宮ブリッツェンがコントロールを継続し続ける。順調に先行するメンバーにも疲労の色が見え始め、少しずつドロップしていき残り2周回にはホセを含む4名に。ホセ、木村、堀、柴田の4名になり、それまで温存させながら回していたホセも脚の消費頻度が増えることになっていく。

ⓒShizu Furusaka

やがて残り2周回、ここまで粘りコントロールし続けた宇都宮ブリッツェンは機を逃さずメインを引き上げ、ホセらを吸収しながらラストラップへ。

ⓒShizu Furusaka

激しいアタック戦が始まる中、そのまま前を固め続けていた宇都宮ブリッツェンから次々に抜け出し、雨澤毅明、続いて鈴木龍。ここに対応できたのはシマノレーシングのみで、横山航太、入部正太朗が追走、そこへ宇都宮ブリッツェンから岡篤志がつき、前は5名が抜けた。まさに形勢転じた瞬間、マトリックスはこの動きを逃し完全に置いていかれ不利な立場へ転じてしまう。

ペースが上がったメインも崩壊し、残るのは15名ほど。ここには地元でもあるリーダーの窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)も入っており、マトリックスは佐野、土井が残る。このメンバーで懸命に追うが届かず、先頭は1分先行で雨澤、鈴木、入部の3名でのゴールスプリントへ。圧倒的有利となった宇都宮ブリッツェンから鈴木龍が勝利、続いて粘りきった入部、そして雨澤。そしてまだ続く宇都宮ブリッツェンから岡・・・
メインはリーダー窪木を含む7名に絞られマトリックスは佐野のみが残りゴールへ、佐野は8位でゴールしチーム最高位。

ⓒShizu Furusaka

チームは勝負に全く絡めず惨敗を喫することになった。

「敗因などなく単にウチが弱く、宇都宮ブリッツェンやシマノレーシングが強かった、ただそれだけだ」と監督のコメントは厳しい。不利かと思われる形勢を見事有利へ変換した宇都宮ブリッツェンは素晴らしい戦いぶりだったと語る。先攻有利から不利へ転じ苦杯をなめる今回の結果、整え引き締め直します。

【結果】
1位 鈴木 龍(宇都宮ブリッツェン) 2時間42分34秒
2位 入部正太朗(シマノレーシング) +0秒
3位 雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン) +6秒
4位 岡 篤志(宇都宮ブリッツェン) +28秒
5位 才田直人(LEOMO Bellmare Racing Team) +59秒
6位 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング) +1分1秒
8位 佐野淳哉(マトリックスパワータグ
39位 アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)
40位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
60位 土井雪広(マトリックスパワータグ)
DNF 安原大貴(マトリックスパワータグ)
DNF 向川尚樹(マトリックスパワータグ)
DNF 田窪賢次(マトリックスパワータグ)

【個人総合】
1位 窪木 一茂 2021p
2位 アイラン・フェルナンデス 1610p
3位 岡 篤志 1601p

photo by Satoru Kato、Shizu Furusaka

JBCF広島クリテリウム

Jプロツアー第12戦(レイティングAc)

これまで中央森林公園での連戦で開催されていた広島大会は新たに出走5名に絞ってのクリテリウム。街中での華やかな会場内でのレースとなる。初回にも関わらず多くの人々が観戦に集まり賑わいを見せている。

レースは非常に短いコースであるが、那須クリテリウムと同様のTの字、そして更にショートであり周回数が多い。これも那須と同様“100回はもがく”に相当する。更に前日から天候が一変し気温が極端に上昇、30℃を超え非常に蒸し暑く、じっとしていても汗が流れるような灼熱日の真昼時間にレースがスタートした。

心配されていた佐野の体調も落ち着き、マトリックスはアイラン体制へ繋ぐため集団前方に位置する。ハイペースながらも強豪チームが前方を固め落ち着いた様子で周回を重ねる。散発的なアタックがかかるも影響の有無を冷静に確認する様子、大きく乱れることなる淡々と吸収する。しかしペースは緩まず一列棒状、後尾から人数を減らしていく。

大きな動きが決まらないままペースも緩まない。前方に位置しながら各チーム様子見的にアタックをかけている。マトリックスは大貴、佐野、ホセが幾度も前に出る。はっきりと決まらないままレースは折り返し17周目、ここで出た3名の逃げ、タイミングとメンバーに対し集団は容認。やっと3名の逃げが形成され集団は沈静した。

雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)
山本大喜(KINAN Cycling Team)
谷 順成(VICTOIRE広島)

集団は10秒前後の差を保ちながら各チームが代わる代わるコントロール、終盤に備え前方は譲らずそれぞれ構えて位置している。マトリックス、シマノレーシング、チームブリヂストンサイクリング。21周目になると先頭から谷がドロップし2名。残り5周、今度は雨澤が先頭での協調を止めて集団に戻ると、集団では宇都宮ブリッツェンが前に上がってくる。

尚も単独で逃げ続ける山本だったが、残り2周で同チームの兄、山本元喜がアタックをかけて一気に吸収。集団はひとつ、ここをマトリックスが先頭を獲り、破壊神の佐野が鬼引きを始める。
佐野、土井、アイランとのトレインに鈴木 譲(宇都宮ブリッツェン)が入るもこのまま最終コーナーへ繋げれば勝機。しかし少し早かったか、最終コーナーからの流れを作るチームは立たず、位置取りしていたスプリンター達の直線ゴールスプリントへ。アイランは立ち上がりストレートでの位置がとれず苦しい位置、横広がりのスプリントをひときわ中央を伸びてきたのはまたしてもルビーレッドの窪木、周囲をしっかり押さえつけての堂々ゴール。アイランは9位に沈んでしまった。

2日間、リーダー窪木の強さを見せつけられる結果となった。マトリックスは表彰台に立つことができず今回は悔しい惨敗、整えて次戦の石川での挽回を図る。

【結果】
1位 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング ) 1時間22分26秒
2位 中島康晴(KINAN Cycling Team) +0秒
3位 黒枝咲哉(シマノレーシング)
4位 大久保陣(チームブリヂストンサイクリング)
5位 横山航太(シマノレーシング)
6位 織田 聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)
9位 アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)
19位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
26位 佐野淳哉(マトリックスパワータグ)
30位 土井雪広(マトリックスパワータグ)
36位 安原大貴(マトリックスパワータグ)

【個人総合】
1位 窪木 一茂 1906p
2位 アイラン・フェルナンデス 1580p
3位 岡 篤志 1421p

photo by Satoru Kato

JBCF西日本ロードクラシック広島

Jプロツアー第11戦(レイティングAAAA)

伝統的なレース、コースも競技者であれば誰もが馴染みある広島、そしてレースのきつさも定番。今年は9周回という過去にない距離の設定、通常は昨年の12周、きついレースとなるだけにこの微妙な周回数変化の影響は考えられる。
この大会は最高設定のAAAA、翌日のクリテリウムはポイントが低い。マトリックスは僅差の3位までつけたアイランを何とかここでリーダーの位置に届かせたい。

当日は80%以上の雨予報だがスタート前には小康状態となり、回復の希望を持たせながらもスタートの号砲とともに音を立てて雨が降り出した。スタートから1~2周はふるいかけのハイペースがいつものパターン。雨が激しくなり前も見づらいほどの状況の中をラップ17分で1周を終えると集団は既に幾つかに分断されている。

ⓒSatoru Kato

先頭38名のグループにはホセ、アイラン、佐野、土井がしっかり入るが、宇都宮ブリツェンは全員が入り強豪チームもしっかりと人数を入れている。早い段階からジャージの色が揃ってくることが予想される中、後ろから向川、大貴、田窪も追いつきマトリックスも全員が先頭位置。

ⓒShizu Furusaka

この時点で乗れないメンバーはこの後置いていかれることとなる。

2周目に入るとシマノレーシングの入部正太朗がアタックし、同じくシマノの湊 諒、そして宇都宮ブリッツェンから雨澤毅明、マトリックスからは佐野淳哉が入り4名で先行を始める。

ⓒSatoru Kato

メインは50名ほどでコントロールが入り沈静、4名を先行させたまま3周目へ。このまま落ち着く状況の中、なんと佐野が体調不良で離脱。マトリックスはメインをコントロールする側になり、先頭とは1分以上の差に開いてくる。

ⓒSatoru Kato

やがて4周目に入りメインはマトリックスと那須ブラーゼン。先頭との差を1分20秒以内に抑えコントロールを続け、この状況を終盤まで重ねていく。

雨はより一層激しくなり、ペースを一定しつつも消耗していく。メインは後尾から少しずつ減っていき、7周目には40名をきってくる。

ⓒSatoru Kato

8周目残り2周、終盤へ向けて前後一斉に動き始めた。
先頭では雨澤に対し2名と優勢のシマノの波状攻撃が始まる。雨澤も応戦、その激しい動きでメインの差はまた1分ほどに開きながらメインも8周目へ。

ⓒSatoru Kato

コントロールし続けるマトリックスも疲れが出始め、残るのはホセ、アイラン、土井、大貴。チームブリヂズトンサイクリング、KINAN Cycling Teamもコントロールに加わるも終盤へ向けての備え、宇都宮ブリッツェン、シマノレーシングも前方に固まってくる。

ⓒShizu Furusaka

徐々に先頭に迫るメイン、先頭3名もペースが上がっていくが湊が落車で離脱。ここで先頭の形成は崩れ入部と雨澤の2名でラストラップへ。メインも30秒ほどまで差を詰めてラストラップへ入るが既にその人数は19名。マトリックスは土井を中心に隊列を組んで備えている。残り3km地点辺りでメインは先頭2名を吸収、カウンターを狙って激しいアタック戦が始まる。

ⓒShizu Furusaka

上り区間でアタックした中西健児(KINAN Cycling Team)に同じくKINANの山本元喜、リーダーの窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)が反応し先行、そこへ木村圭祐(シマノレーシング)が合流、最後のホームストレートで追いついた小野寺 玲(宇都宮ブリッツェン)、そしてアイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)。
6名でのゴールスプリントを先駆けていた窪木一茂がその横線を全く許すことなくゴール。一列となって、木村、小野寺、アイラン。アイランは4位となり残念ながら表彰台を逃した。

この結果、アイランはランキング2位へ上昇。高ポイントを得たリーダーの窪木が2位以下を突き放すこととなる。そのスプリントの強さから翌日のクリテリウムもかなり手強い存在となるであろう。チーム力で勝ちを狙う。

【結果】
1位 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング) 2時間46分39秒
2位 横山航太(シマノレーシング) +0秒
3位 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
4位 アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)
5位 中西健児(KINAN Cycling Team)
6位 山本元喜(KINAN Cycling Team) +4秒
7位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
28位 土井雪広(マトリックスパワータグ)
34位 安原大貴(マトリックスパワータグ)
38位 田窪賢次(マトリックスパワータグ)
39位 向川尚樹(マトリックスパワータグ)
DNF 佐野淳哉(マトリックスパワータグ)

【個人総合】
1位 窪木 一茂 1716p
2位 アイラン・フェルナンデス 1500p
3位 岡 篤志 1379p

photo by Satoru Kato、Shizu Furusaka

全日本選手権ロード・レース

“佐野淳哉が2位!”

photo by team

いよいよ日本一を決める頂上決戦、全日本選手権ロードレース。選ばれた者たちが凛とした決意を持って聖なるスタートラインに立つ。

コースはこれまでに学生のレースなどでも開催されてきた島根県益田市での公道14.2km。アップダウンを繰り返しながらも大きく左回りをとる大周回、きつい勾配区間や道幅狭い下り区間なども含むが全体には流れに乗りやすく、スピードマン向きのコースとも言われている。スタートから上り区間、勾配のきつい部分は前半に多く含み高度を上げていき、後半は下り基調で少しずつ高度を下げていく。このアップダウンの繰り返しが長丁場レースでは堪えてくるとの予想。

マトリックスは栄光のタイトルを手にしてきたベテランの佐野、土井を中心としつつも、状況に応じ各々チャンスに備えよという捉え。ツアー戦などと違い、この捉え方や戦略は各チームそれぞれであろう。そして、チーム戦というシチュエーションでもないのが全日本選手権。不揃いであり一貫性もなく流動的、何が起こるか分からない“魔物が潜む”と言われている。この魔物とも戦い、だから難しい。
ここ最近は序盤の動きがそのまま決まることが多いため、監督は「始めの動きに注意」とミーティングで促す。

梅雨の最中、この決戦日だけはカラリと晴れた。朝から気温が上昇し9:00のスタート頃には既に汗ばむ気温。予想では30℃近くまで上がると言う、6時間もの長丁場レースは暑さも伴う過酷なレースとなりそうである。
スタートラインに漂う独特のピリピリ感、触れる空気に電流が流れているようなこの感触はチャンピオンシップならでは。
その空気を裂くように号砲が鳴り、選手たちが一斉にスタートした。

スタート直後の上り区間からアタックがかかる。このふるいにかけるパターンはいつものお約束、いきなり数名が抜け始め、最初にできたのは12名のグループ。マトリックスはそこに田窪が入る。

田窪賢次(マトリックスパワータグ)
徳田優、横塚浩平(チーム右京)
岡篤志(宇都宮ブリッツェン)
秋田拓磨、黒枝咲哉(シマノレーシング)
早川朋宏、阿曽圭佑(愛三工業レーシングチーム)
山本元喜(キナンサイクリングチーム)
堀孝明、石橋学(チームブリヂストンサイクリング)、
吉田悠人(那須ブラーゼン)

集団からは次々と前を追って抜ける選手が続く。「行った方がいいと思った」と言う佐野も加わり、17名がグループとなりながら合流、先頭は29名とかなりの人数。尚も後ろから加わろうとする動きが続きながらも1周回を21分ほどで完了。29名の先頭グループから30秒ほどで大貴を含む4名のグループ、やがてここまでがひとつになり35名の大集団。ここで全ての明暗が分かれることとなる。振り返ってみればこれが今回の魔物かもしれない。

田窪賢次、佐野淳哉、安原大貴(マトリックスパワータグ 3名)
徳田優、横塚浩平、平塚吉光、小石祐馬(チーム右京 4名)
岡篤志、小野寺玲、阿部嵩之、鈴木龍(宇都宮ブリッツェン 4名)
秋田拓磨、黒枝咲哉(シマノレーシング 2名)
早川朋宏、阿曽圭佑、岡本隼(愛三工業レーシングチーム 3名)
山本元喜、新城雄大(キナンサイクリングチーム 2名)
堀孝明、石橋学、大久保陣、原田裕成(チームブリヂストンサイクリング 4名)
吉田悠人、下島将輝、樋口峻明(那須ブラーゼン 3名)
中村龍太郎、大東泰弘(イナーメ信濃山形 2名)
中川智、杉山文崇(ヴィクトワール広島 2名)
吉田隼人(NIPPPO-VINIFANTINI-EUROPAOVINI)
高岡亮寛(Roppongi Express)
金子大介(7ELEVEN CLIQQ RBP)
豊田勝徳(WAKO’S RACING TEAM)
井上亮(Magellan System Japan)
清宮洋幸(竹芝サイクルレーシング)

残るメインは80名ほどでタイム差は1分40秒。3周目に入り、前後グループとも沈静していく。
メインには土井を含み、他強豪チームもエース格は全てメインに残る。まだ15周のうちの3周目で序盤。しばらくはこの状態が続くと思われるが、先頭の人数がかなり多く各チーム人数も入れている。この先頭グループがレース中に持つ役割がいまひとつ掴みどころない状況であることには違いない。そして、その差は徐々に開いていき、5周目には3分まで開く。

5周目にはメインから5名、6名と抜ける選手が出るが、チームで動くところは全くの無反応。先頭はペースを落としておりラップタイムは23分。メインは更にまったりとし、翌6周目では6分以上に離れ、7周目に入る頃には9分を過ぎていく。動こうとする様子のチームもなく、長丁場でもこのタイム差はもう諦めの姿勢としか言いようがない。

9周目、レースは折り返し。前後ともグループの様子に変わりなく淡々と周回を重ねている。しかし気温は昼の上昇ピークとなり30℃ほど、かなり暑い。周回を重ねるだけでもかなり消耗する様子、脚攣りなどで脱落する者が出始め、佐野も攣りを訴え疲労の色は隠せない。先頭も疲れが出たかペースが落ち、メインはシマノレーシングやチームブリヂストンサイクリングがコントロールを開始し徐々にペースを上げ始める。10周目に入る頃には先頭からのタイム差は6分強まで縮まる。

10周目、先頭からは樋口がアタックをかけて抜け出す。樋口は単独先行、この動きで先頭グループは活性し始め続くアタックの動き。追い上げるメインとは5分をきった11周目、今度は徳田と石橋がアタックし樋口をパスして先行。グループはより一層動きが激しくなり分断崩壊。ここから17名が抜ける。

佐野(マトリックスパワータグ)
小石、平塚、横塚(チーム右京)
石橋、大久保(チームブリヂストンサイクリング)
岡、小野寺、鈴木(宇都宮ブリッツェン)
早川、阿曽(愛三工業レーシングチーム)
山本、新城(キナンサイクリングチーム)
下島(那須ブラーゼン)、吉田(NIPPPO-VINIFANTINI-EUROPAOVINI)、高岡(Roppongi Express)
井上(Magellan System Japan)

チーム右京と宇都宮ブリッツェンは3名も残しており、マトリックスは佐野1名となってしまう。一方でペースアアップを始めたメインも崩壊し、脱落者が続出。人数は一気に半減し40名ほどとなる。

絞られた先頭17名は尚もアタックが続く。小石が積極的にアタックをかけており、12周目には山本と2名で抜ける。それを追う動きで17名も崩壊、追うのは佐野を含む4名で50秒。その1分後ろに7名、13周目へ残り3周。

先頭2名 小石、石橋
4名 00:50 佐野、石橋、小野寺、新城
7名 01:50 吉田、平塚、阿曽、早川、鈴木、下島、高岡、井上
39名 06:00 残る39名

佐野ら4名が懸命に追うが、先頭のキナン山本のチーム新城を含んでいるため上手く協調がとれない。その中、小野寺がドロップしてしまう、佐野は非常に厳しくなるが石橋と共同して尚も先頭を追う。
14周目に入った、佐野と石橋の表情がかなり険しい。先頭とは35秒、佐野は渾身引き上り区間をクリアしていく。
やがて石橋も力尽き、佐野と新城が先頭にジョイン。そこで更に佐野がアタックをかけると反応したのは山本、小石と新城は遅れるが、新城が粘り追いついてきたところでラストラップへ。キナン2名に対しマトリックス佐野1名で分が悪い。ここで今度は山本がアタックをした。

上り区間でアタックした山本に佐野は反応が遅れ直ぐに10秒も離れてしまう。懸命に追う佐野は新城を引き離してひたすら前を追う。しかし、それ以上に山本の走りは快調、前半の上り区間でその差は40秒にまで広がってしまう。残る下り区間で更に猛追するも追いつくことはできず、佐野に32秒の差をつけて山本元喜が単独でゴール。全日本チャンピオンのタイトルを手にした瞬間を待ち受けたチームと共に歓喜に涙する。

そして、多くの歓声と拍手を浴びながら佐野が帰ってきた。普段の穏やかさからは想像もできない、悔しさを全身で表し何度も叫ぶ。「悔しい、行けると思った、行きたかった」
2014年チャンピオンに輝いた時のレースも最終残った3名で勝負した相手は山本選手だったと語る佐野。時を経て、また同じような勝負に遭遇する不思議を話す。山本選手も同じような気持ちで受けているかもしれない。
年齢的にも大ベテランとなったいぶし銀のその走りに、2度目のタイトルを思わせたのは本人だけではなく、観る人々も胸熱に興奮させ、釘付けにさせたのは間違いない。

しかしレースは続く。切り替え次週はJプロツアー、ルビーレッドジャージを掴みにチーム一丸で戦います。

シーズンの山頂を越え、これより後半へ入ります。前半を無事終了できましたこと、支えていただいた皆様へ心より感謝申し上げます。
まだまだレースが続きますが、残る後半もどうぞよろしくお願いいたします。

【結果】
1位 山本元喜(キナンサイクリングチーム) 5時間46分53秒
2位 佐野淳哉(マトリックス・パワータグ) +32秒
3位 新城雄大(キナンサイクリングチーム) +2分43秒
4位 入部正太朗(シマノレーシング) +4分26秒
5位 平塚吉光(チーム右京) +4分32秒
6位 小石祐馬(チーム右京) +4分39秒
7位 中島康晴(キナンサイクリングチーム) +4分44秒
8位 井上亮(Megellan Cycling Team) +5分20秒
9位 阿曹圭佑(愛三工業レーシングチーム) +5分37秒
10位 小森亮平(愛三工業レーシングチーム)
11位 高岡亮寛(Roppongi Express) +5分39秒
12位 寺崎武郎(バルバレーシングクラブ) +5分55秒
13位 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)
14位 吉田隼人(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)
15位 早川朋宏(愛三工業レーシングチーム)
16位 石橋学(チームブリヂストンサイクリング) +7分49秒
17位 鈴木龍(宇都宮ブリッツェン) +7分52秒
18位小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) +8分34秒
19位 下島将輝(那須ブラーゼン) +10分10秒
20位 近谷涼(チームブリヂストンサイクリング) +10分35秒

photo by Satoru Kato

全日本選手権タイム・トライアル・ロード・レース

いよいよ今期のシーズン頂点、全日本選手権が始まる。今年はタイムトライアルとロードレースは日程も開催地も別でそれぞれの開催となる。先ずはタイムトライアルから、TTスペシャリストの佐野淳哉がチームからひとり参戦となる。
機会の少ないタイムトラアル競技、他大会では表彰台トップに立つことはあったが、この全日本選手権では幾度も表彰台に立つことはあったが優勝には届かず、悔しい思いをしてきた。昨年はライバル視してきた西薗良太の快走が上回り2位。今年こそ表彰台のトップを!と万全の準備で臨む。

男子エリートでのスタートリストは最終28名、3つのWAVEに分けられ2分毎にスタートしていく。今年の注目選手はそれぞれ分散しており、前半からチェックが必要。佐野は今年の最有力候補者として注目を浴びながら、WAVE3の最終走者でのスタート。

WAVE1では54分台、WAVE2に入ると53分台へと突入していく。コースは前半がアップダウンを多く含み、後半は平坦基調でのゴール。6番手でスタートした小石祐馬(チーム右京)が51分54秒01とそれまでのタイムを大きく更新すると、その2人後にスタートした近谷 涼(チームブリヂストンサイクリング)が51分26秒60を出し、WAVE2終了時点で暫定トップに立つ。ラップのトップタイムは近谷の17分01秒6、最終WAVEは注目の強豪選手が並び、このタイムを目安としてスタートしていく。

残る6名、2番目スタートの窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)が、ラップタイム16分45秒7と驚くタイムで1周回を完了、そのタイムを聞きながら佐野がスタートした。佐野は「人生で最大のギア」と本人が語る、出力重視の機材設定で挑む。1周目を落ち着いて走行し、3番手タイムで完了。スピードを乗せて更に上げて行く勝負の2周目に入って間もなく、チェーンが落ちる機材トラブル発生。
機材交換をして走るがこの停止ロスは致命的、この周回は12位まで順位を落とすこととなってしまう。

それでも諦めず再度機材を交換してのラストラップ。渾身追い込む佐野の気迫は凄まじく、一気に6位まで順位を上げ残り半周へ。その走りは上位に届く奇跡を思わせるほどのもので最終ラップは16分53秒7と窪木に続く2番手のタイムで走行したが、2度の機材交換ロスの影響はやはり大きく、結果6位で終えることとなった。

一方、最速タイムで先行していた窪木は乱れることなくタイムを落とさず素晴らしい走りを見せ、2位に1分以上の差をつけての勝利。2位は同じブリヂストンの近谷、トラック競技でも一目置かれているチームブリヂストンサイクリングのワン・ツー表彰台となり、3位には小石が入った。

リスクを伴いながらも最大の出力へ懸けた佐野自身の勝負でもあったチャンピオンシップ。しかし人馬一体の自転車競技ならではの結果、悔しく残念ではあるがこれも含めて競技。「これからもまだ走る」とコメントする佐野、これからもチャレンジし続けていくであろう。

続いて今週末は全日本選手権ロードレース。今度はチームでチャンピオンシップへ臨みます。

【結果】
1位 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング ) 50分23秒92
2位 近谷 涼(チームブリヂストンサイクリング ) +1分2秒
3位 小石祐馬(チーム右京) +1分30秒
4位 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) +1分36秒
5位 渡辺翔太郎(愛三工業レーシングチーム) +1分39秒
6位 佐野淳哉(マトリックスパワータグ) +1分42秒
7位 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) +2分8秒
8位 石橋 学(チームブリヂストンサイクリング ) +2分22秒
9位 鈴木 譲(宇都宮ブリッツェン) +2分40秒
10位 岡本 隼(愛三工業レーシングチーム) +2分43秒


photo by Satoru Kato